Canvaは10月22日、Introducing Canva Craftにおいて、初の自社開発画像生成AIモデル「Craft」を発表した。最大2K解像度の画像生成に対応し、Canvaの「Dream Lab」から利用できるほか、開発者向けにAPIも公開している。 10月22日に発表された同モデルは最大2K解像度に対応し、Canvaの利用者はDream Labから利用できる。開発者は公開APIを通じて自社アプリに組み込むことも可能だ。

構図設計と画像描画を分離、文字の可読性や配置精度を向上

Craftを開発したのは、2025年に設立されたCanva Researchだ。同組織には、Canvaが買収したKaleidoとLeonardo.aiのチームを含む160人超のAI研究者・エンジニアが所属している。

Canvaによると、Craftは画像生成AIの評価サイト「DesignArena」で初登場時に4位となった。また、開発元のCanva Researchは、同サイトの開発組織別ランキングで2位に入ったという。

Craftの特徴は、画像生成を二段階に分けた設計にある。最初のモデルがプロンプトを読み、登場する物体や配置、サイズ、優先順位、画像内に表示する文字を含む構図案を作成する。次に別のモデルが、その案から画像を描く仕組みだ。

描画処理では30種類超のアスペクト比に対応し、文字の読みやすさや物体の配置精度を高めた。画像の一部分だけを編集する機能も備え、今後は編集機能の拡充や参照画像を使った生成にも対応する予定だ。

Craftの学習には、Canvaが保有する数百万点のデザインテンプレートが活用された。ポスターやSNS投稿、プレゼンテーションなど、人間が制作したデザインを学習することで、レイアウトや文字の配置、視覚的な優先順位といったデザインの原則を理解できるようにしたという。

Canvaは、生成画像を編集可能な要素に分ける「Magic Layers」も提供しており、画像生成と編集の両面でAI技術の開発を進めている。同社は前年、レイアウトやレイヤーを読み取る「Design Model」も公開していたが、画像そのものを生成するモデルの自社開発はCraftが初めてとなる。

蒸留技術で処理速度を約10倍に、API経由での利用にも対応

Canvaは処理速度と費用の抑制にも取り組んでいる。同社サービスは2億5000万人超が利用し、毎秒400件以上のデザインが作られているため、高速化や消費リソースの低減は欠かせない。

高速化には、大規模モデルの動作を小型モデルに学ばせる蒸留技術を活用した。さらに、構図設計用の独自エンジンを開発することで、初期の社内版に比べて処理速度を約10倍に高めた。

低価格版の「Craft-fast」と「Craft-ultrafast」も予定されているが、価格と提供時期は未発表だ。Canvaは、生成1回あたり数セントの差でも大規模運用では大きな影響があると説明する。

開発者はCanva Connect APIでモデル名「craft_v1_2k」を指定して利用できる。リクエストにはアカウントのAIクレジットを使用し、処理には約50~60秒かかることを想定しておく必要がある。AIアシスタントとCanvaを接続するMCPサーバーへの対応も予定されている。

CraftはCanvaの「Dream Lab」左下のサイドパネルから利用でき、プロンプトは任意の言語で入力可能だ。画像内の描画文字は55言語に対応する。Canva Shieldの対象であり、プロンプトと生成結果の審査、プライバシー管理、有害または誤解を招くコンテンツの報告機能が適用される。

  • Canva Craftを利用した画像生成の画面(出典:Canva)

    Canva Craftを利用した画像生成の画面(出典:Canva)