この組み込みニュースのまとめ
・サイレックスが既存の有線LAN機器をWi-Fi 6対応にする「BR-110AX」を発売
・48mm×77mm×22mmの小型筐体とUSB Type-C給電で可搬機器にも対応
・無線機能を外部へ切り出し、設計変更やファームウェア保守の負担を軽減
サイレックス・テクノロジーは10月28日、Wi-Fi 6対応ワイヤレスブリッジ「BR-110AX」を11月24日に発売すると発表した。
BR-110AXは、有線LANポートを備える医療機器、検査・分析装置、POS・キオスク端末などを、製品本体の設計や既存アプリケーションへ大きな変更を加えることなくWi-Fiネットワークへ接続するための外付け機器となる。
外形寸法は48mm×77mm×22mmで、USB Type-Cからの給電に対応。機器の背面や可搬機器など、設置スペースが限られる環境にも導入しやすくした。
無線機能を製品本体から外部へ切り出す
従来、機器へ無線機能を内蔵する場合、無線モジュールを追加するだけでなく、ドライバー、認証・暗号、設定機能、ファームウェア更新、無線認証などへの対応が必要になっていた。BR-110AXは、製品本体の有線LANインタフェースを維持したまま、無線設定や認証、ファームウェア更新・保守などを外付け機器側へ集約することで、既存機器の主要設計やアプリケーションに対する変更を抑え、無線化に伴って製品メーカーが実装・管理する範囲と、ワイヤレスブリッジ側が担う範囲を整理しやすくすることを可能とした。
また、既存製品を無線化する場合だけでなく、複数世代の製品で共通の無線インタフェースを利用することで、製品本体と無線機能の更新サイクルを分ける用途にも活用できるともする。
Wi-Fi 6とWPA3、IEEE 802.1Xに対応
無線通信はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax、1×1)に対応し、セキュリティ機能としてWPA3、WPA2、IEEE 802.1X認証をサポートする。
IEEE 802.11rによる高速ローミングにも対応。医療カートなどの移動を伴う機器が、施設内の複数の無線アクセスポイント間を移動する環境で、無線通信の切り替えを支援する。
筐体はIP21、消毒液耐性、難燃グレードUL94 V-0に対応しており、医療機器や小売機器などの環境でも利用することが可能だという。
既存のIP・MACアドレスを生かして無線化
さらに、BR-110AXは「IPインターセプトモード」を備えており、有線LAN機器に設定された既存のIPアドレスとMACアドレスを活用した無線化を支援することが可能。機器本体で利用してきたネットワーク設定を生かせるほか、無線インフラ側からBR-110AXの管理も可能とする。
加えてアクセスポイントモードにも対応。有線LAN機器とPCやタブレットを直接無線接続する簡易アクセスポイントとして動作させることも可能だという。
CRAを見据えて製品ライフサイクル全体を管理
欧州のサイバーレジリエンス法(CRA)では、製品の設計・開発段階だけでなく、市場投入後の脆弱性監視、セキュリティアップデート、保守、報告体制など、製品ライフサイクル全体を通じた対応が求められる。
無線機能を内蔵した製品では、製品本体のソフトウェアに加えて、無線通信に関するファームウェアや認証、暗号などの脆弱性対応も必要となる。
サイレックスは、無線機能をBR-110AXへ切り出すことで、無線通信に関する更新や保守を外付け機器側へ集約することができ、最終製品の開発・運用負担を軽減できるようになるとしている。
ただし、BR-110AXを使用すれば、最終製品メーカーが負うCRA上の責任がなくなるわけではなく、製品メーカーが、製品本体、BR-110AX、クラウド、関連サービスなどを含む製品全体について、評価、技術文書、脆弱性対応、報告に関する適合方針を検討する必要があるとしている点に留意する必要がある。
なお、BR-110AXは現時点でCRAへの適合を表明した製品ではなく、CRA対応を計画中の段階としており、対応内容や提供時期は、今後の開発・評価状況によって変更される可能性があるとしている。
