
2025年の国勢調査で富山市が人口を水増しした疑いがあるとして、総務省が市の職員を氏名不詳のまま統計法違反の疑いで刑事告発した。国勢調査の確定値公表と合わせて同省が明らかにした。
富山県警は市役所を家宅捜索するなど、捜査に着手。不正の理由などを調べている。国の基幹統計である国勢調査の信頼性を揺るがす事態に波紋が広がっている。
国勢調査は、国内に居住する全世帯を対象に5年に1度実施する。10月1日を基準日として、全ての人の氏名や性別、出生年月、国籍、勤務先などを調べる。結果は衆院選小選挙区の区割りや地方交付税の配分などに活用される。藤井比早之総務相は記者会見で「誠に遺憾だ。調査の正確性を引き続き確保していくためにも、捜査機関から協力を求められた場合には適切に対応する」と述べた。
総務省によると、現地調査で調査員が「居住実態なし」と確認して調査一覧から抹消した世帯を、市職員が根拠なく存在するものとして扱うなどし、人口を水増しした疑いがある。水増しした人数は2000人以上で、複数の職員が関わった可能性があるという。
確定値での市の人口は39万9197人。総務省が今年5月に公表した速報値では40万2133人だった。データを精査する過程で統計法に違反する不適切な処理が確認されたという。
26年度の地方交付税の算定には速報値の人口が使われており、市の試算によると、本来より約6000万円余分に受け取った可能性があるという。ただ、それが今回の不正の理由なのかどうかは不明だ。人口が40万人を下回らないようにする目的があったのではないかとの見方もあるが、藤井裕久市長は記者会見で、「全くないと断言できる」と回答。幹部職員からの不正の指示も否定した。
国勢調査を巡り、総務省が統計法違反の疑いで刑事告発するのは初めて。過去には、10年調査で愛知県東浦町が市制移行に必要な人口5万人を満たすために水増しした事案があった。