
開発期間の半減や低価格化
「中国メーカーのスピード感についていく取り組みが必要。(今の立場に)安住してはいけない」――。こう危機感を示すのはスズキ社長の鈴木俊宏氏だ。
世界で中国メーカーの電気自動車(EV)の拡大が進んでいる。今年1―6月の世界の新車販売台数では世界のEV販売の5割を中国市場が占めた。「中国国内では”内巻”と呼ばれる過熱した価格競争が繰り広げられており、中国メーカー自体も淘汰が進んでいる」(専門家)。
そのため、行き場をなくした中国メーカーのEVは海外への輸出に振り向けられている。さらに中東情勢で原油価格が高止まりしている背景もあって、EVのニーズが高まっており、値頃感のある中国のEVが売れているのだ。
そんな中国勢に日本勢はどう対抗するか。スズキは新車の開発期間を2030年に20年度比で半減する方針を示す。従来は40~48カ月だった開発期間を24カ月に短縮させる。これまでは1つの工程が終わってから次の工程へと進んでいたが、デザインや設計、生産技術などの複数の工程を同時並行で行う「並行開発」を進める。鈴木氏は自社のEV戦略としては「全方位(マルチパスウェイ)戦略」を維持する考えだ。
同様に全方位戦略を掲げるトヨタ自動車はスピードと価格で存在感を示す中国勢に対し、これまで日本主導だった開発体制を改め、中国市場向けには「トヨタ中国研究開発中心」などの現地拠点に権限を与え、中国のサプライヤーと連携する。電池は寧徳時代新能源科技から調達し、自動運転システムでは小馬智行と共同開発する。
電動化に加え、運転支援や先進安全技術を含む知能化を進め、地域ニーズに合う「現地化」で巻き返しを図りたい考えだ。中国企業との連携は日産自動車も進めており、ホンダも現地パートナーのプラットフォーム(車台)を活用した車を投入する。
これまで日本勢が中国勢に技術を教えてきたが、EVの普及に伴って立場が逆転。「足元ではハイブリッド車が好調ではあるが、中長期的に電動車の本命はEV」(前出の専門家)との声も上がる中、経営の根本から変えていくことが求められている。