この半導体ニュースのまとめ

・ニコンが2026年6月に開発を表明したデジタル露光装置を「DSP-110」として製品化
・目標の毎時65枚以上を上回る毎時72枚、従来機比約40%の処理能力向上を実現
・最大730mm×920mmの大型基板に対応し、2027年4月に発売

ニコンは10月13日、半導体の先端パッケージング向けデジタル露光装置「DSP-110」を2027年4月に発売すると発表した。

同社は2026年6月、解像度1.5μmのLine and Space(L/S)に対応するデジタル露光装置を開発していることを明らかにしていた。当時は2027年度中の発売を予定し、510mm×515mm基板で毎時65枚以上、解像度1.0μmの従来機「DSP-100」と比べて30%以上の生産性向上を目標としていた。

今回、製品名を「DSP-110」、発売時期を2027年4月とし、同サイズの基板を毎時72枚処理できることを発表。スループットはDSP-100比で約40%向上し、開発表明時に掲げた目標を上回る性能で製品化することとなった。

解像度は1.5μm、重ね合わせ精度は±0.3μm以下。高い重ね合わせ精度と処理能力を両立し、先端パッケージングの生産効率向上とトータルコスト低減につなげるとしている。

解像度1.5μmと高い生産性を両立

生成AIの普及に伴ってGPUやHBMなどの需要が拡大する中、複数のチップを1つのパッケージへ高密度に実装する先端パッケージング技術の重要性が高まっている。

大型インターポーザーや多層FC-BGA基板では、チップ間を接続するRDL(再配線層)の高密度化が求められる一方、量産工程では必要な解像度を確保しながら、処理能力や製造コストとのバランスを取る必要がある。

ニコンは、解像度1.0μmに対応するDSP-100に加え、解像度1.5μmと毎時72枚の処理能力を両立するDSP-110を投入することで、パッケージ構造や生産計画に応じて装置を使い分けられるラインナップを構築する。

DSP-110はフォトマスクを使用しないデジタル露光方式を採用。設計データに基づいて回路パターンを直接露光するため、製品ごとにフォトマスクを用意する必要がなく、設計変更や多品種生産にも柔軟に対応できる。

光源にはi線相当の光源を採用する。対応基板サイズは310mm×310mm、510mm×515mm、600mm×600mm、730mm×920mmなどの角型基板に加え、300mmウェハなどにも対応する。

光学系の再設計で処理能力を約40%向上

DSP-110では、解像度1.5μmの用途に合わせて光学系を再設計することで、DSP-100からスループットを約40%向上させた。半導体露光装置やFPD露光装置、カメラなどで培ってきた光学技術を活用し、解像度と生産性のバランスを最適化したという。

また、光学系の再設計により、DSP-100よりもフォーカスマージンを拡大した点も特徴となる。フォーカスマージンとは、基板表面の高さや焦点位置にずれが生じた場合でも、正確な回路寸法を保てる許容範囲を意味する。

先端パッケージングで用いられる大型基板は、ウェハと比べて反りや表面の高さのばらつきが生じやすい。フォーカスマージンを拡大することで、多様な基板条件に対して安定して回路パターンを形成し、歩留まりと量産安定性を高める狙いがある。

光学系の交換で解像度1.0μmにも対応

DSP-110は、導入後に光学系を交換することで、解像度1.0μmの装置へとアップグレードすることも可能としている。

導入時には解像度1.5μmと毎時72枚の処理能力を生かして量産へ適用し、将来的にRDLの微細化が進んだ場合には、装置全体を入れ替えることなく、光学系の交換によって1.0μmのプロセスへ対応できるようにすることで、複数世代にわたる活用ができるコストメリットをうたい、導入促進を図るものと思われる。前工程向けでは、ASMLが2026年第3四半期決算の説明にて、納入済み装置の生産性向上に向けたアップグレード需要が想定を上回ったことなどを報告するなど、長期間にわたって装置を利用したいというニーズは確実に高まりを見せているといえる。

ニコンは2025年7月にDSP-100を発表し、2026年6月には生産性を重視した1.5μm対応装置の開発を表明していた。今回、その装置をDSP-110として製品化し、発売時期と量産仕様を正式に示した形で、より微細なRDL形成を重視する工程にはDSP-100、解像度1.5μmを確保しながら高い処理能力を求める工程にはDSP-110を提案することで、先端パッケージング向けデジタル露光装置の事業拡大を目指すとしている。