
信用力の不透明感は依然残る
「この重責を担う以上、会社を立て直し、再び信頼していただける状態にすることが、わたしの使命だと思っている」
こう語るのは、ニデック社長に就任した戒田理夫氏(70)。
不適切な会計処理や検査データの改ざん問題に揺れるニデック。9月29日付で社長の岸田光哉氏が辞任し、専務執行役員の戒田氏が社長に昇格。再生に向けた新経営体制が発足した。
翌30日には、延期していた2026年3月期の連結業績を発表。営業損益は5189億円の赤字、最終損益は5646億円と過去最大の赤字となった。これまで注力してきた車載や家電関連事業で6321億円の減損損失を計上したことが大きい。
また、有価証券報告書に関しても、会計監査法人のPwC Japanは「連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を見つけることが出来なかった」(久保田正崇代表執行役)として、監査意見を「不表明」とした。
今後、同社は戒田氏を中心とする新経営体制で中期経営計画を策定し、AI(人工知能)・半導体やエネルギー領域を成長分野に位置づけ再生を図る方針。
ただ現状、戒田氏は取締役ではない。戒田氏は今後の臨時株主総会で選任されるまでは代表取締役になることはできず、新経営体制が有効に機能するまでは時間がかかるかもしれない。
このため、アナリストは「監査法人が意見不表明の監査意見を示したことで、内部管理体制の改善には時間を要する印象を持つ。ガバナンス(企業統治)面における課題や改善に時間を要する点もマイナス影響として強まった。信用力の不透明感は依然として残る」と指摘する。
当面の次なる焦点は、同社が上場を維持できるかどうかだ。
ニデックは昨年10月に東京証券取引所から特別注意銘柄に指定された。このため、同社が今後も上場を維持するためには原則、指定から1年後に内部管理体制等が適切であることを示す内部管理体制確認書を提出しなければならない。
同社は10月末に確認書を提出する予定だが、監査法人が「意見不表明」とした状態で、東証はどのような判断を下すのか。同社の正念場が続く。