全国の自治体で、防災メールなどの情報配信サービスに登録された個人情報が漏えいした可能性が相次いで公表されている。情報配信システムを提供するアルカディアへの不正アクセスによるもので、各自治体ではメール配信サービスの停止などの対応を進めている。

本稿では、10月14日時点で公式発表や報道から影響を確認できた自治体・県の状況をまとめる。

アルカディアへの不正アクセス、全国の自治体に影響

アルカディアが提供する情報配信システム「SpeeCAN RAIDEN(スピーキャン ライデン)」などが不正アクセスの影響を受け、登録者の個人情報が漏えいした可能性がある。

同社によると、メールアドレス最大約313万6000件、電話番号約10万5000件、FAX番号約1万5000件が漏えいした可能性がある。

同システムは、自治体が住民に防災・防犯情報や行政情報などを一斉配信する用途で利用されている。また、学校や保護者間の連絡に利用されるサービスにも影響が及んでいる。

今回、不正アクセスを受けたのはシステム提供事業者であり、各自治体のシステムが個別に攻撃されたわけではない。

不正アクセスの影響を受けた自治体一覧

10月14日時点で、自治体の公式発表や報道によって影響が判明した自治体・県を以下にまとめた。

都道府県 自治体 影響内容 出典
秋田県 横手市 情報配信サービスへの影響・漏えいの可能性 公式発表
埼玉県 さいたま市 防災行政無線メール等、登録情報漏えいの可能性 公式発表
千葉県 柏市 かしわメール配信サービス、個人情報漏えいの可能性と配信停止 公式発表
神奈川県 横須賀市 防災・防犯情報メール等4サービスに影響 公式発表
富山県 入善町 情報配信サービスへの影響(詳細は出典参照) 報道
富山県 高岡市 情報配信サービスへの影響(詳細は出典参照) 報道
福井県 大野市 防災メールの登録情報に影響の可能性 公式発表
福井県 福井市 防災気象情報メールに影響 公式発表
福井県 越前市 緊急連絡メール・電話配信サービスに影響 公式発表
岡山県 玉野市 情報配信サービスへの影響・漏えいの可能性 公式発表
広島県 江田島市 防災情報メール・電話・FAX登録情報に影響の可能性 公式発表
徳島県 美馬市 情報配信サービスへの影響・漏えいの可能性 公式発表
愛媛県 今治市 情報配信サービスへの影響(詳細は出典参照) 公式発表
長崎県 佐世保市 防災情報・道路冠水情報メールに影響 公式発表
宮崎県 宮崎県 防災・防犯情報メール登録情報3万8959件 公式発表

※自治体の公式発表および報道を基に作成。情報漏えいの可能性とサービス停止は異なり、漏えいが確定したことを意味するものではありません。

なお、各自治体が公表している件数には、登録されたメールアドレス数やサービス利用者数などが含まれる。必ずしも実際に個人情報が漏えいした件数を示すものではない。

今回の事案は、同じシステム提供事業者への不正アクセスに起因するものであり、自治体ごとに個別の攻撃が発生したわけではない。

防災メールや学校の連絡網も停止、住民生活への影響広がる

今回の不正アクセスでは、個人情報漏えいの可能性に加え、自治体が提供する情報配信サービスの停止も相次いでいる。

例えば、秋田県横手市では、防災メールのほか、学校や学童保育で利用する連絡サービスにも影響が生じている。また、富山県高岡市や福井県福井市などでも、防災関連のメール配信サービスが停止した。

こうしたサービスは、災害時の避難情報や気象情報、防犯情報などを住民に伝えるために利用されている。サービスが停止した自治体では、公式WebサイトやSNSなど、別の手段で情報を確認するよう呼びかけている。

一方、さいたま市や横須賀市では、不審なメールに関する問い合わせが寄せられたことも公表されている。ただし、これらのメールと今回の不正アクセスとの関連性が確認されたわけではない。

今回の事案は、自治体が共通の外部サービスを利用している場合、サービス提供事業者への不正アクセスが全国の自治体に波及する可能性を示している。

一部の自治体では、情報漏えいの有無や影響範囲の確認を進めるとともに、住民に対して不審なメールへの注意を呼びかけている。