リンデンホールスクール中高学部校長/  都築学園グループ副総長・都築明寿香が語る「『和魂英才』の教育方針で世界を舞台に活躍できる人材を」

グローバル化が急速に進む現代は経済のみならず、気候変動や感染症など1国では解決できない地球規模の問題が立ちはだかり、全世界が協力せずに乗り越えることが難しい時代です。

 そんな中で日本人はどうあるべきか。幼少期の教育が重要なのは誰もが認めるところでしょう。ただ、英語を話せるだけで世界の中の日本であり続けることができるでしょうか。私は世界的な舞台で活躍できる「英語が自由に使える国際人」の育成が求められる一方、日本というアイデンティティが共存する人材育成が重要だと思っています。

 世界の舞台では自国の代表としての意見を発する立場に置かれる機会が多く、「日本ではどうですか?」「日本人としてどう思いますか?」と、独自の視点や論拠を求められます。そのときに日本人が日本の伝統や歴史・文化、そして精神性を理解していなければ意味がありません。

 私は高校1年生で単身米国に渡り、大学1年生時に帰国。その後も大学院時代に国連UNDPなどのインターンを経験し、現在も海外の大学との学術・事業連携等で行き来していますが、世界に飛び立つからこそ日本の和の精神が求められていると感じます。それが世界の社会課題の解決にもつながるからです。

「どうして敗戦した日本が世界に冠たる経済大国になれたのか?」「日本が世界一の長寿企業数を誇ることができているのは、なぜですか?」。日本に関心を寄せる外国の知識人との会話で、このような質問をよく受けます。日本人の八百万の神々を敬う寛容の精神や時間やルールを守る規律性、安全・安心な社会、豊かな自然やヘルシーな美味しい食など世界中がサステイナブルな経済と環境を目指す中で、日本人の持つ自然観や規律性、精密な技術力の高さがどこからくるのか知りたいのです。

 しかし、彼らの疑問に肝心の我々日本人が─かつて新渡戸稲造や岡倉天心が成したように─説得力のある本物の英語で答えられるでしょうか。現代の大人では難しいかもしれない。しかし、何でも吸収できる幼少期なら話は別。子どもたちの可能性は無限大です。ですから、幼少期からそれらをもっと育む必要があると考えました。

 そこで2004年にリンデンホールスクール小学部を開校。10年には中高学部を開校して13年には国際バカロレア認定校として正式認定されました。本校の特長は『和魂英才』という教育方針を掲げ、英語教育に力を入れると共に、カリキュラムの中で日本の文化や価値観についても学ぶという点です。

 例えば、小学部では『古事記』を道徳の授業で学びます。日本最古の書物に接して日本の神話を学ぶと共に、外国人教師によるネイティブな英語を学ぶことができます。また、茶道や陶芸、武道などの伝統文化も学ぶことで、和の精神を自然と身につけることができるようになります。

 更に本校がある福岡県太宰府市の自然豊かなフィールドを大胆に活用し、校庭には子供たちが体をフル活用して遊べる「トトロの森」と呼ぶ原生林の山がありますし、ターザンロープや吊り橋など約20種類のアスレチック器具も設置しています。

 加えて、敷地内には畑や水田があり、地元の農家さんの力を借りながら、子どもたちが自分たちの手で食物を育て、収穫し、それを給食で食べています。残った食材もコンポスト(微生物の力で分解し、堆肥にする方法)し、食物がどう生産されているのかも学ぶことができるのです。

 人づくりは国づくり─。この思想を胸に秘め、世界に羽ばたく人材を育てていきます。

2期8年の任期を終える今、早稲田大学・田中愛治総長を直撃!