このAI関連ニュースのまとめ

・DMPがグラングリーン大阪でスケートボードの迷惑滑走を検知するシステムを実証
・生成AIによる二段階判定などで検知精度を41.8%から83.5%へ向上
・警告音声の運用後、迷惑滑走の検知件数が2026年4月に月間0件まで減少

ディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)は、西尾レントオールとの協業により、グラングリーン大阪の一部エリアで、LLMを活用してスケートボードの迷惑滑走を検知する異常行動検知システムの実証実験を実施したことを発表した。

実証期間は2026年1月から4月までの約4か月間で、園内に設置した監視カメラの映像からスケートボードの迷惑滑走を検知し、現地で警告するシステムの性能と運用安定性を検証した。今回の結果を踏まえ、実証は現在も継続しているという。

実証は、大阪府にあるグラングリーン大阪のエリアマネジメントおよびパークマネジメントを担う一般社団法人うめきたMMOの「MIDORIパートナー制度」の枠組みを活用したもの。西尾レントオールが実証主体と現地運用、DMPが検知システムの開発とチューニングを担当した。

迷惑滑走の検知精度を41.8%から83.5%へ向上

実証システムは、園内に設置した監視カメラの映像をクラウドへ送信し、クラウド上のLLMが映像に含まれる行動の意味や文脈を解釈することで、スケートボードの迷惑滑走をリアルタイムに判定する。

迷惑滑走を検知した場合は、現地のスピーカーから警告音声を再生する。また、検知時の静止画と動画を添付した電子メールを管理者へ自動送信し、現地の状況を確認できるようにした。

稼働当初は、路面に落ちた影を人物と誤認することなどによる誤検知が課題となった。DMPは実運用中に収集した映像を分析し、検知ロジックの改善を複数回にわたって実施。さらに、一次検知の結果を生成AIが再評価する二段階判定を導入した。

こうした改善により、検知精度は実証開始時の41.8%から、2026年4月末時点で83.5%まで向上したという。

夜間照明などによる誤検知も半分以下に低減

実際の都市空間では、天候や照度、人流量が時間帯や季節によって変化する。開発環境や単一の検証拠点だけでは把握しきれない影や照明変化などが、映像認識における誤検知の要因となる。

今回の実証では、多様な時間帯、天候、照度、人流量の条件下で誤検知パターンを収集した。DMPは収集した実運用データを使って検知ロジックを反復的に調整し、実環境における検知精度と運用安定性を高めたとしている。

夜間照明に起因する誤検知は、ロジック改善前の63日間で20件発生していた。改善後は22日間で3件となり、1日当たりでは約0.32件から約0.14件へ減少した。

異なる日数で収集したデータを1日当たりの件数に換算しても、誤検知の発生頻度は半分以下に低下したことになる。

警告音声の運用後、迷惑滑走の検知件数が71件から0件に

検知システムと警告音声を組み合わせた運用では、スケートボードの迷惑滑走の検知件数が2026年2月の71件から、3月には55件、4月には0件へと減少した。

DMPは、迷惑滑走を検知するだけでなく、その場で警告音声を再生することで、公共空間における迷惑行為の抑止効果を確認できたとしている。

都市公園や商業施設、建設現場などでは、限られた人員で広いエリアを管理する必要がある。物理的な対策や管理担当者による巡回だけでは、コストと即応性の両面に限界があるほか、夜間や広域エリアで継続的に迷惑滑走を把握することも難しい。

今回の仕組みは、監視カメラ映像から迷惑滑走を自動検知し、その場で警告するとともに管理者へ通知することで、常時巡回に依存しない公共空間の管理を可能にするものとなる。

Vision-LLM Insightとは何か?

今回の異常行動検知システムの基盤として使われた「Vision-LLM Insight」は、DMPのLLM推論エンジンと独自のビジョンAI技術を融合した行動認識AIプラットフォームである。

一般的な物体検出では、映像に人やスケートボードが映っていることは判定できても、スケートボードを持って歩いているのか、実際に乗って滑走しているのかといった行動の違いを判別することが難しい場合がある。

Vision-LLM Insightでは、ビジョンAIによる物体検出で解析対象となる候補を絞り込んだうえで、LLMが映像内の行動の意味や前後の文脈を解釈する。これにより、単にスケートボードが存在することではなく、公共空間でスケートボードに乗って滑走しているという特定の行動を判定する。

顧客が検知したい行動に合わせたシナリオ設計に対応するほか、クラウドとエッジを組み合わせたハイブリッド処理にも対応する。また、市販のIPカメラや既存の監視カメラを利用できるため、専用カメラへの大規模な置き換えを伴わずに導入できるとしている。

DMPは2025年9月からVision-LLM Insightを本格提供しており、顧客ごとの課題に応じたAIモデルの開発や、導入後の継続的なチューニングも行っている。

侵入や放置、徘徊、転倒の検知にも展開

DMPは、今回の実証実験で得られた影や夜間照明などの誤検知パターンと、実運用環境におけるチューニングの知見を、Vision-LLM Insightおよび関連ソリューションの機能改善に活用する。

今後は、スケートボードの迷惑滑走の検知に加え、管理区域への侵入、物品の放置、不審な徘徊、人物の転倒など、さまざまな行動シナリオへの対応を進める。

提供先としては、自治体、公園や道路の管理者、公共施設、商業施設、建設現場、物流現場などを想定する。全国に拠点網と顧客基盤を有する西尾レントオールとの協業も通じて、異常行動検知システムの社会実装を進めるとしている。