ENEOSは9月17日、海上貨物輸送を利用する貨物代理店企業・荷主企業向けに、持続可能な船舶燃料「SMF(Sustainable Marine Fuel)」の環境価値の販売を開始したことを発表した。
SMFの環境価値を実際の燃料供給と切り分けて提供
ENEOSはこれまで、国内外で航空分野における持続可能な航空燃料「SAF」、軽油の代替燃料となる「HVO」、そして今回の発表の対象であるSMFの販売を通じて、顧客の脱炭素化を支援してきた。またSAFについては、燃料の販売だけでなく、環境価値の販売を通じた貨物代理店企業・荷主企業の温室効果ガス(GHG)のScope3排出量削減への取り組みの支援も行っている。
海運分野ではGHG排出量実質ゼロに向けて低炭素燃料の活用が求められる一方で、SMFの普及におけるコストや供給体制、サプライチェーン上の制約が課題となっている。
これに対してENEOSは、SMFの利用によって創出されるScope3環境価値を実際の燃料供給とは切り分けて提供する仕組みを構築したというのが今回の発表の内容となる。
このSMFの環境価値販売により、海上貨物輸送を利用する貨物代理店企業・荷主企業は、実際の燃料供給地や利用船舶に制約されず、海上輸送サービスに伴うScope3排出量削減の手段として、SMFの環境価値を活用できるようになる。
ENEOSは今回の取り組みを通じて、海運業界におけるSMFの普及を後押しするとともに、海上輸送サービスを利用する法人顧客のScope3排出量削減を支援する。さらにグループの長期ビジョンに掲げる「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け、SAF/HVO/SMFをはじめとするバイオ燃料について、調達から自社製造、販売までを一貫して担うサプライチェーンの構築と普及促進に取り組むとしている。
編集部メモ
SMF(Sustainable Marine Fuel)は、船舶から排出されるGHGの削減を目的に利用される持続可能な船舶燃料の総称。特定の1種類の燃料を指すものではなく、バイオマスや廃棄物などを原料とするバイオ燃料のほか、再生可能エネルギーを活用して製造する合成燃料などが含まれる。従来の化石燃料に代わる選択肢として、海運分野の脱炭素化に向けた活用が進められている。
また、今回の発表で言及されている「Scope3」は、企業の事業活動に関連して発生する温室効果ガス排出量のうち、自社による直接排出(Scope1)や自社が購入した電力などの使用に伴う間接排出(Scope2)を除いた、バリューチェーン全体での間接排出を指す。海上輸送を外部の事業者に委託する場合、その輸送に伴う排出もScope3に含まれる。
