
価値観で出会えるマッチングアプリを目指して
4人に1人はマッチングアプリで結婚をする時代―─。黎明期よりユーザーも増え、マッチングアプリで出会うことが以前と比べ一般化してきています。しかし使う人が増えたことで、良い経験をした人とそうでない人との差分が出てきており、いわゆる〝マチアプ疲れ〟現象が起きてきています。そこをどう活性化するのかが現在の業界全体の課題だと捉えています。
当社アプリ『with』『Omiai』の累計会員数は2000万人を突破しました。当社が提供する「with」は、価値観マッチングを重視しています。例えばユーザーが自分の興味や関心を登録できる「好みカード」では、趣味や推し活など7万種類以上のカードが登録され、共通点から心理的安全性が生まれることでコミュニケーションが活性化されます。実際にカップルになった時に価値観のズレが起きがちな部分を、様々な診断コンテンツを提供し、週末の過ごし方や金銭感覚なども把握した上で、より質の高いマッチングを可能としています。
それからアプリ内でのAIの活用も非常に進んでいます。これまではユーザー自らが出会う人を絞ってしまうということがありましたが、出会いの可能性を広げるためには、マッチングの可能性がある人を幅広く見ることが重要です。
そこでAIエージェントを活用し対話型でコミュニケーションを取ることで、こちらからリコメンドしたり、提案型で条件を広げることも行っています。
また、相手がAIだと恥ずかしさを感じることなく本音の対話が可能です。マッチングアプリの最大の挑戦は、「自然な出会い」です。本音に加えて、本人が気づいていない発見性や偶然性のある体験を入れていけるかが恋愛のマッチングにおいて非常に重要です。そこが最大の難しさでもあり、制作側が想像力を持って作り込むことが要諦だと考えています。
現在当社のプロダクト開発では7~8割はAIがコードを書いている状況で、プロダクトの開発効率は爆発的に上がっています。一方その中で人間の役割とは、五感で感じ、ユーザーの体験設計や、問いの立て方など、企画し判断することだと思います。
社員に対してはAIネイティブな組織になるということを掲げており、AIと人間の関係の本質を理解しながら活用を推進していきたいと考えています。
マッチングアプリがより一般的になり、利用者が増える一方で、このサービスを悪用する人が出てきて社会問題にもなっています。
当社では従前から本人確認や会員同士の不正なコミュニケーションを365日24時間体制で人の目とAIで監視するなど、ユーザー様の安心・安全への取り組みは特に力を入れてきました。しかしわれわれの管轄外となるアプリ外でのコミュニケーションでトラブルに発展した場合、関知ができなくなってしまいます。ユーザーを守るために、事例紹介を含めた啓蒙啓発や、アプリ内でのコミュニケーションを推奨したり、警察と連携を強化しながら対策を進めています。業界全体で横串を刺し、ユーザーにとって安心・安全な環境を提供できるよう努めていきたいと思います。
PROFILE
のべ・かずや:1972年東京都生まれ。1996年青山学院大学経営学部卒。PwC・アーサーアンダーセン、伊藤忠系コンサルティング会社にて事業戦略・マーケティング等のコンサルティング業務に10年以上に渡り従事。2006年リヴァンプ入社、2013年ローソン上級執行役員マーケティング本部長。19年メルカリ執行役員Mercari Japan CMO兼CBO。2022年スマートニュース上級執行役員日本事業責任者。24年11月より当社執行役員グループCEO、同年12月から現職。その他、オイシックス、ロイヤリティーマーケティングの社外取締役を歴任。
ファーストリテイリング財団事務局長・石田吉生「日本と世界をつなぐ次世代リーダーの育成を」