2期8年の任期を終える今、早稲田大学・田中愛治総長を直撃!

グローバルスタンダードの研究と教育を進めてきた

 

 ─ 田中さんは9月で2期8年の総長任期を終えるわけですが、改めて、この8年間をどのように受け止めていますか。 

 田中 まず、達成できたことで言いますと、グローバルスタンダードの研究と教育を行うということは、全学に周知できたと思います。全学の教員・職員共に国際的なスタンダードで教育を進めるということで、AX(アカデミック・トランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)をかなり進めてきました。 

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 特にデータサイエンスについては、全学に文理融合と総合知の教育を広めることができたと思っています。 

 具体的には、2017年に前総長の下でのデータ科学センター設立を後押しし、全学部の学生がデータサイエンスを学べるようになりました。AI(人工知能)を用いてビッグデータの解析をする「データ科学入門」という授業を履修した学生は、2025年に累計1万9612人となりました。 

 本学は学部生が1学年約8900人で、理工学部の学生はこの授業をあえてとる必要もないので、理工学部を除く学生は1学年約7300人。それが4学年いますので、大半がこの授業を履修したことになります。 

 ─ 全ての学生にデータサイエンスを学んでもらうと。 

 田中 ですから、あと2~3年もすれば、学部で3万9000人、大学院を入れて4万8000人全員がデータ科学入門を理解することになるだろうと。これこそが文理融合で、総合知を得るための第一歩だと思っています。 

 この背景には、2013年にわたしが「GEC(グローバル・エデュケーション・センター)」をつくり、全学生に英語のライティングや日本語のライティングを教えてきましたが、個々の学部を乗り越えて全ての学部で教えられるような体制をつくったことは早稲田がおそらく初めてであり、日本の大学ではまだここまでできていない、と思います。 

 また、2004年に設立した国際教養学部は、早稲田大学で初めて英語のみで学士号を取得できる学部です。それが今では13ある学部のうち6学部は英語だけで学士が取れる、さらに、20ある研究科のうちの15で英語のみで修士号、博士号が取れるようになった。それだけの教育や研究ができる体制にしました。これは自分自身やりきったと手応えを感じています。 

 ─ 英語のみで修士号や博士号が取れるというのは非常にユニークですね。 

 田中 はい。もう一つは財務改革ですね。「WASEDAエンダウメント戦略」と言いまして、わたしが総長に就任した2018年11月までに、本学は債券などを中心に約1000億円のキャッシュバリューがありました。債券ですから毎年1~2%の低利で安定運用していたんですが、100億円は運用益、利子だけで貯まったんです。 

 わたしは、この100億円を積極運用する提案にゴーサインを出して、ミドルハイリスク・ミドルハイリターンで戦略的予算の確保に取り組んできました。その結果、100億円が2025年度までの7年間に追加投資を含めて、時価残高で363億円まで増えました。 

 通常の有価証券運用の残高1548億円も合算すると1911億円の運用資産になり、ここまで運用益で成長した日本の大学は他にないと思います。

続きは本誌で