スマホのカメラで職場のワンシーンを撮る──いまや珍しくない光景です。しかし、業務上の個人メモ、社内での共有、SNSへの投稿など公開範囲によって、求められる判断はそれぞれ異なります。
会社に撮影や投稿に関するルールはあるのか、撮影者はそれを理解しているのか。マイナビニュース会員へのアンケート調査結果をたどると、社内ルールの周知が追いついていない実態と、その先にある意外な逆説が見えてきました。
【調査概要】
- 調査対象:マイナビニュース会員のビジネスパーソン 492人
- 調査期間:2026年6月23日~7月20日
- 調査方法:インターネットアンケート
- 属性分布:職場でスマホ撮影経験あり 352人(本記事の母数)、撮影経験なし 140人
撮影経験者352人の58.2%が、社内ルールを「把握していない」
はじめに紹介したいのは、実際に職場でスマホ撮影をした経験がある人ほど、社内ルールをよく知らないという実態です。職場でスマホ撮影経験のある352人のうち、社内の撮影・投稿ルールの内容を「把握していない」人は58.2%(205人)に上りました。
| スマホ撮影やSNS投稿に関する社内ルール把握状況(撮影経験者 n=352) | ||
|---|---|---|
| ルールがあり、 内容を把握している |
41.8% | |
| ルールはあるが、 内容はよく知らない |
13.4% | 58.2% |
| ルールがあるか どうか知らない |
23.6% | |
| ルールは ないと思う |
21.3% | |
ここで言う「把握していない」には、ルールの内容をよく知らないという人だけでなく、ルール自体があるかどうかの認識が曖昧な人も含まれます。逆に「把握している」層は約4割どまり。社内ルールが存在していても、その内容が撮影する従業員まで届いていない可能性を示す結果といえます。
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▶職場でスマホ撮影「経験あり」71.5% - その写真、SNS投稿まで許される?
社内ルールを「把握している層」ほど、SNS投稿への許容率が高い
ここからが本題です。「ルールの内容を把握している人ほど、職場写真や動画のSNS投稿に慎重なのでは」と考えたくなりますが、データはむしろ逆を示しました。
先ほどの撮影経験者352人を、社内ルールを「把握している層(147人)」と「把握していない層(205人)」の2群に分けて、撮影内容を個人のSNSに投稿することへの許容度を比べてみます。すると、ルール把握層のほうが、SNS投稿に寛容な傾向が浮かび上がりました。
| スマホ撮影・SNS投稿のうち許容できる行動は?(複数選択可) | |||
|---|---|---|---|
| ルール把握層 (n=147) |
ルール未把握層 (n=205) |
差 | |
| 飲み会写真をSNSに投稿 | 32.7% | 18.0% | +14.6pt |
| 業務チャット画面をSNSに投稿 | 15.6% | 5.4% | +10.3pt |
| 社内セルフィーを配慮せず投稿 | 15.6% | 6.3% | +9.3pt |
| 社内風景・デスクをSNSに投稿 | 21.8% | 12.7% | +9.1pt |
| あてはまるものはない | 15.0% | 28.8% | −13.8pt |
いずれの場面でも、ルールを把握している層の許容率が高く、逆に「あてはまるものはない(=どれも許容しない)」は把握していない層のほうが多いという結果でした。
ただし把握層でも、個々の投稿行為を許容する人は多数派ではありません。許容率が最大の「飲み会写真をSNSに投稿」でも32.7%ですから、許容しない人が3分の2を占めている計算になります。
「ルールを知っているから投稿する」傾向ではない - 読み解きの注意点
今回の調査結果は、つい「ルールを把握しているから、かえって投稿に前向きになる」と読みたくなります。しかし、そう結論づけるのは早計です。
考えられるのは、スマホ撮影やSNS投稿する機会が多い職場ほど、ルールもきちんと整備・周知されているという可能性です。つまり「投稿に寛容だからルールを把握している」のか「ルールが整っているから投稿に不安を感じない」なのか、原因と結果の向きはこのデータだけでは特定できません。
写真・動画の背景や公開先 - 投稿直前まで気を緩められない
数字の裏側では、現場の一人ひとりが小さな判断に迷っています。今回のアンケートに寄せられた自由回答には、何気ない撮影に戸惑った経験や、SNSへの投稿直前に問題へ気づいた事例などが寄せられました。
「後輩がごく自然にスマホで資料を撮影していて驚きました。自分で見るだけなら別にいいのか…と思いましたが、なんとなくソワッとしました」(34歳・女性・公共サービス)
撮ること自体は悪くないはずなのに、どこか落ち着かない。この曖昧さこそが判断を難しくしています。
「オフィスの写真を撮っているとき、パソコンの画面が映り込んでいた」(27歳・男性・IT技術職)
何気ない一枚に意図しない情報が写り込む。日常の撮影にこそ、リスクは潜んでいます。
「職場で撮影した写真の背景に個人情報が半分映り込んでいた事に気づき、SNSへのアップロードを取り止めた」(41歳・男性・公共サービス)
投稿の寸前で踏みとどまったケースです。裏を返せば、気づかなければそのまま公開していたかもしれません。
「社内で競合の製品を使っているところを動画撮影していた。アップ直前に止めたけど」(52歳・男性・クリエイティブ)
そしてこうしたヒヤリハットは、ルールを把握している当事者のもとでも起こり得ます。ルールを知っていることと、実際に手を止められるかどうかは別の問題なのです。
必要なのは、単に「禁止」と知らせることではありません。撮ってよい場所・対象、見せてはいけない範囲、社内共有と外部公開の違い、迷ったときの確認先まで具体的な基準を伝えること。これが現場の迷いを減らす一歩になるはずです。
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