米Anthropicは6月23日(現地時間)、Slack上で「Claude」をチームメンバーの一員として利用できる新機能「Claude Tag」を発表した。Claude EnterpriseおよびTeamプラン向けに、同日からベータ版として提供を開始した。

同機能は既存の「Claude in Slack」アプリを置き換えるものである。移行はオプトイン方式で、管理者が30日以内に手続きを行う必要がある。

Claude Tagでは、Slackのチャンネル内で「@Claude」とメンションすることでタスクを依頼できる。依頼を受けたClaudeは作業を段階に分解し、アクセス許可を与えられたツールを用いて処理を実行する。作業が完了すると、結果をSlackのスレッドで返信する。モデルにはClaude Opus 4.8を使用している。

従来のチャット型AIとの違いは、個人ごとの単発利用ではなく、チャンネル単位で共有される点にある。特定のSlackチャンネルに1つのClaudeが存在し、チームの誰もがその作業状況を確認できる。別のメンバーが前回のやり取りを引き継いで依頼を続けることも可能で、Anthropicは「チームメイトと共同作業する感覚に近い」と説明している。

もう1つの特徴は、Claudeがチャンネル内の文脈を継続的に学習する点である。Claudeは参加しているチャンネルの情報をもとに、プロジェクトや業務の背景を蓄積する。権限が与えられている場合は、他のSlackチャンネルやデータソースからも関連する情報を学習できる。ただしAnthropicは、Claudeがプライベートチャンネルの内容を報告することはないとしている。

タスクは非同期で実行される。タスクを設定すれば、Claudeは自らスケジュールし、数時間から数日にわたってプロジェクトを自律的に進めることもできる。

Claude Tagには、ユーザーからの明示的な依頼に応答するだけでなく、能動的に情報を提示する「ambient」動作も用意される。この動作が有効な場合、Claudeは参加しているチャンネルや接続されたツールから関連情報を見つけ、必要と判断した内容をチームに知らせる。未解決のまま止まっているスレッドやタスクをフォローアップすることもできる。

企業向けの管理機能も用意される。システム管理者は、Claudeがアクセスできるツール、情報、チャンネルを指定でき、メモリーを含む情報は管理者が定めた範囲内に限定される。たとえば営業向けに設定されたClaudeが、エンジニアリング向けのClaudeにメモリーを引き継いだり、エンジニアに営業データへのアクセスを与えたりすることはないという。また、管理者は組織単位およびチャンネル単位でトークン利用額の上限を設定できる。Claudeが実行した内容や、誰が各タスクを依頼したかを確認するログ機能も提供される。

Claude Codeの新たなステージ

Anthropicは発表の中で、Claude Tagを「Claude Codeの進化の始まり」と位置付けている。Claude Tagによって、Claude Codeへの作業委任をチーム全体で共有しやすい形に発展させられる。同社内ではすでにClaude Tagの内部版が業務に使われており、製品チームのコードの65%が内部版Claude Tagによって作成されているという。

一方で、Claude Tagの用途はコーディングに限られない。Anthropicは、製品指標やデータの確認、サポートチケット対応、複雑な不具合の根本原因調査などにも利用が広がっているとしている。

Claude TagはまずSlack向けに提供されるが、Anthropicは今後、チームが働く他の場所でも「@Claude」を呼び出せるようにする方針を示している。企業向けAIは、単独のチャットボットから、業務の場に常駐して文脈を把握し、必要に応じて作業を進めるエージェントへと広がりつつある。Claude Tagは、その流れをSlack上のチーム作業に取り込む試みである。