安田雄太・アライブメディケア社長の 「人生の転機」【どん底からの再建】

株主資本主義経営と介護現場の価値観の隔たりを埋めるために奔走した期間は今でも忘れることができません。

 今でこそウェルビーイング経営を実践して東京都内・神奈川県を中心に11棟にのぼる介護付き有料老人ホーム「アライブ」の平均稼働率が9割以上を維持し、現場で働く介護職員一人ひとりが老人ホームを終の棲家ではなく、元気になって家に帰ることができる場に変えようと一生懸命働いてくれています。

 しかし、私が2014年から本社に配属されてからの4年間は本当に苦しい時期でした。しかも17~19年にかけて3期連続の営業赤字にも転落。私が入社した会社は不動産会社で、2000年から新規事業として介護を始めたのですが、当時の経営陣は、効率的に資産を活用し、事業を安定させるという不動産ビジネスの視点が強くありました。

「身元保証人のいない方の受け入れ」などの判断基準が厳しく設定されるなど、本来あるべき介護の姿とは大きく乖離した経営がなされていたのです。ですから、現場で働く社員の表情は不満と不安でいっぱいでした。

 私自身、14年間にわたって介護職員、ホーム長として現場で働いてきました。介護という労働集約産業は不動産のような資本集約産業とは違います。いかに現場の社員がご入居者の立場に立ってサービスを提供できるかどうかが大事になります。しかし、現場の声を届けたくても本社から出ることのない経営陣に想いを届けることが難しい状況でした。

 会社をつくりかえるほどの経営改革を成し遂げるためには、もはや自分が権限と責任を持つしかない。そう腹を括り、当時の親会社の社長に直談判。19年に営業や人材育成などを統括する執行責任者となり、まずは介護の現場しか分からなかった自分を磨くため、経営の勉強をしました。21年に社長に就くと、不動産出身の経営陣には交代していただき、現場にはお客様にすべきサービスを磨き上げると共に、無駄な作業などは排除し、徹底的に生産性を上げました。

 お陰様で翌年度には黒字化を実現することができました。やはり経営の要諦は現場にあると思います。二度と、あの苦しい時期に戻ることがないように、社員と共に進んでいきたいと思っています。

単身でインドに乗り込み、海外人財のルートを開拓していた頃の安田さん

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