出生率の低下--。日本では深刻な社会課題と捉えられているが、世界でも原因を探る動きがある。その原因をスマートフォンの普及に求める2本の学術論文が発表された。

調査期間において出生率低下の最大半分を引き起こした可能性?

米国で出生率の低下が始まったのは2007年。Appleが初代iPhoneを発売した年と一致することから、研究者たちはスマートフォンとの関連を調査してきたという。

ミドルベリー大学のCaitlin Myers教授らの論文では、iPhoneが登場した当初、キャリアパートナーだったAT&Tのネットワーク展開の地域差を自然実験として活用。カバレッジの高い郡と低い郡の出生率を比較した結果、iPhoneが2007年から2011年にかけての出生率低下の最大半分を引き起こした可能性があると結論付けた。

影響は15~24歳の若者で特に顕著だったという。要因としては、対面交流の減少、ポルノへのアクセスの容易化、避妊や中絶に関する情報入手のしやすさなどが挙げられている。

また、シンシナティ大学のHernan Moscoso Boedo教授らの論文は、128カ国のデータを分析。イランやメキシコ、チリなど制度や文化が異なる国々でも、スマートフォン普及後に10代の出生率低下が加速したことを確認した。

同教授は「これほど多様な国々で同時期に同様の変化が起きたのは、グローバルな共通要因があるからだ」と主張している。

一方、バルーク大学のTheodore Joyce教授は懐疑的な立場だ。10代の出生率低下は1990年代から続いており、スマートフォン登場以前から始まっているためだ。「仮説として興味深いが、まだ推測の域を出ない」としている。New York Timesが6月8日付けで報じている。