佐藤薬品工業社長・佐藤雅大が語る「和漢薬のふるさと奈良でVUCAの時代に勝ち残りを賭ける」

私たち佐藤薬品(愛称:さとやく)は、製薬大手の佐藤製薬さんと勘違いされることが間々ありますが、1947年に奈良県橿原市に創業以来、約80年にわたり、医薬品受託加工業界のリーディングカンパニーとして、内服固形剤の製造技術と品質管理に研鑽を積んできた会社です。

 国内の伝統的な和漢薬、配置薬の地域ブランドといえば、近江や富山が有名かもしれませんが、実は奈良県橿原市は和漢薬の元祖というべき歴史を持つことを誇りとしています。奈良県中南部に位置する橿原・明日香エリアは、日本初の女性天皇である推古天皇がここで薬狩りを行ったという、日本最古の薬に関する記録がある場所です。

 その後、「修験道の開祖である役行者(役小角)が、ここでの修行の一環で整腸薬『陀羅尼助丸』を創薬して全国に広めた」、「奈良時代には朝廷が薬園をつくって薬草の採取・栽培・調剤を行った」など、橿原は和漢薬の歴史的エピソードに事欠かない土地柄です。明日香村のある高市郡と直接的な由縁があるのかは存じませんが、奈良出身の高市早苗さんが総理大臣となり、橿原の医薬業に携わる我々も一段と盛り上がっています。

 佐藤薬品は、カプセル剤が主流でなかった1960年代に、いち早くイタリアから充填機を導入してカプセル製剤技術の確立に挑戦し、大量生産に成功しました。手探りの中でも挑戦する風土がわが社の躍進の基盤になっていると自負しています。

 私は2022年に3代目社長に就任しましたが、創業者や会長を始めとする諸先輩方が築いた会社を永続的に発展させると強く決意して、経営理念を胸に刻んだ上、『より多くの人々の健康に奉仕し、そしてより多くの人々に親しんでもらい、社会の役に立つことで、社員や家族が誇りに感じ、イキイキ・わくわくする企業へ成長する』というVision〝S〟2030を策定しました。企業体質の絶え間ない変革には、人材発掘とリーダー育成が欠かせません。プロジェクトチーム「わくわく向上委員会」を設置し、若手社員を集め、福利厚生制度や健康経営、風通しの良い風土醸成などの施策を自ら考えてもらうようにしました。

 公立中学の野球部を地域・民間に移行する『少年野球の地域展開』に関して奈良県で民間企業としていち早く手を挙げ、令和8年春から『さとやくベースボールアカデミー(SBA)』を開校、活動を開始しますが、地域貢献のアイデアも、わくわく向上委員会から生まれたものです。

 VUCAと呼ばれる不透明・不安定な国際情勢や経営環境で、企業はより柔軟な調達戦略や市場の多角化が求められます。我々も医薬品受託製造業の枠を超え、医薬品・健康食品・化粧品分野での自社ブランド製品の展開と定着を目標に掲げ、24年からは自社トータルヘルスケアブランド「さとやく」を立ち上げて、事業の拡大にまい進しているところです。

 スタート以来2年間で、第三類医薬品である「チアビタミン錠B」、栄養機能食品「爽快決フェチョコビ」、健康食品「LIPOCERA」など、矢継ぎ早に商品開発・発売を連打し、ブランド認知の獲得に努めています。現在はオンラインショップでの販売が中心ではありますが、昨年春から一部ドラッグストアでもお取り扱い頂けることになりました。海外市場も、現在のASEAN地域・モンゴルに加え、インドネシア、ウズベキスタン、インドなどのエマージングマーケットの開拓も加速していきます。