龍谷大学学長・安藤徹が語る「仏教SDGsの実践へ」

環境課題に取り組む企業や自治体と連携し、直面する課題に共に向き合いながら実践的な人材育成、研究活動を展開する。

 本学は2027年4月に新設する「環境サステナビリティ学部」と「情報学部」を起点に、滋賀県の「瀬田キャンパス」を産学官連携の拠点に位置付け、環境課題の解決に取り組む「グリーン・コレクティブ・インパクト構想」を発表しました。

 大学業界では進学者数が減少に転じる26年を機に、定員充足率の低下や大学淘汰が本格化する「2026年問題」が指摘されています。現在約800校ある4年制大学は今後10年間で、約50~100校減少するとも言われています。大学はより社会の要請に応える教育を提供し、社会に貢献する領域を拡大することで、存在価値を発揮していくことが求められています。

 本学は1639年に京都の西本願寺に設けられた学寮を起源としています。今では10学部、約2.2万人の学生を有する規模にまで成長することができました。こうした状況の中で、浄土真宗の精神を建学の精神とする本学はどうあるべきか、高い志と眼前の課題解決のバランスをどのように取るのか、将来の姿を社会に示す必要があります。

 そもそも仏教には「摂取不捨」(すべての者をおさめとって見捨てない)という言葉があります。これはSDGsの「誰一人取り残さない」にも通じます。本学も「自省利他」という行動哲学を掲げ、持続可能な社会の実現に向けた研究活動や人材育成、地域連携を大学運営の中核としてきました。

 387年の歴史を踏まえると同時に、2039年の創立400年を見据え、企業や自治体などと環境問題に向き合う中核拠点として瀬田キャンパスを再定義していくというのがグリーン・コレクティブ・インパクト構想の骨子。同キャンパスは隣接する約38ヘクタールの里山林「龍谷の森」や琵琶湖流域の恵まれた自然環境が広がり、生物多様性を可視化する環境DNA分析の豊富な研究実績を有しています。

 このキャンパスに新設する2つの学部は実践的な人材育成や研究活動の展開が柱です。環境サステナビリティ学部にはサントリーホールディングスのサステナビリティ経営推進本部シニアアドバイザーの北村暢康氏、情報学部にはSympaFit代表取締役の加治佐平氏をそれぞれ教授として招きました。また、ソフトバンク特別顧問の宮内謙氏には、情報学部のスーパーバイザーに就任いただきました。

 さらに滋賀銀行、東近江三方よし基金と連携し、自然の状態をデータとして評価する「生物多様性保全総合指数(BCCI)」を開発した実績を活かし、今後はこの活用を検討していきます。また、「東近江市森の文化博物館基本計画(仮称)」を進める東近江市とも連携して構想の一環として鈴鹿山脈や愛知川流域の自然環境を活かした研究活動や教育を推進する予定です。

 近年の社会課題は環境や経済、健康など様々な問題が複雑に絡み合い、単独の組織や1つの学問分野だけでの解決は難しくなっています。そこで本学は新たな大学の在り方を推進するため、27年4月の学部新設に合わせて3つのキャンパス名称を変更し、JR京都駅前への新拠点開設の準備も進行しています。

 本学はこれまでも仏教の精神とSDGsを結びつけた「仏教SDGs」の取り組みを進めてきました。今後も行政と企業、大学、市民が役割を分担して継続的に取り組む「コレクティブ・インパクト」の考え方に基づき、本学だからこその使命を果たしていく考えです。

エニグモ代表取締役CEO・須田将啓が語る「「BUYMA」開始20年 「感動の選択肢」をもっと」