Samsung Electronicsのファウンドリ事業部門「Samsung Foundry」が2030年に1nmロジックプロセス(SF1)の量産開始を目指して動いていると韓国メディアが報じている

imecやTSMCでは「A10」と呼ぶ微細プロセスで、先行するTSMCとの技術競争を経て、先端プロセスでの主導権を握るためだという。

フォークシート・トランジスタを導入

韓国業界筋によると、Samsungは2030年に1nmプロセスの研究開発を終えて量産ラインに移管する計画を立てたが、そのトランジスタはimec考案のフォークシート構造を採用するという。SF1.0は、2nmプロセス(SF2)よりもトランジスタが高密度化されるため、製造の難度が上がり、歩留まりがどの程度になるのかが注目される。

  • フォークシート・トランジスタ構造の写真

    imec考案の1nm実現に向けたフォークシート・トランジスタ構造の写真。フォークに似ていることから命名されたという (出所:imec)

2030年に世界一の目標は維持

Samsungは2019年、「2030年システム半導体世界一ビジョン」を発表。当時から現在まで先端プロセスでTSMCを上回ることを目指してきた。その実現のために2019年に7nmでEUVリソグラフィの導入、2022年には3nmでのGAA構造を採用してきたが、いずれも世界初の量産導入ということもあり歩留まり向上に苦戦した経緯がある。

ただし、2nmについては、Teslaから2025年にAIチップ「A16」の生産契約を165億ドル規模で獲得。現在、2027年から米テキサス州テイラー工場での生産に向けて開発がTesla向けカスタムプロセス「SF2T」の開発が進められている。

また、自社システムLSI事業部による次世代スマートフォン用アプリケーションプロセッサ向けとなる第2世代2nmプロセス「SF2P」や2027年予定の性能改善版「SF2P+」などの開発も進めており、2028年の第3世代2nm「SF2X」を経て、2029年には1.4nmプロセス「SF1.4」の投入を予定している。「2nmの歩留まりが最高60%超に達しており、2026年は黒字転換も期待できる」と語る業界関係者もいる模様である。ただ、競合のTSMCは1.4nmプロセスによる試作を2027年末までに終え、2028年後半より量産を開始する計画である。

パワー半導体にも本格参入と韓国メディアが報道

日本のパワー半導体業界は現在、経営統合や買収交渉が話題となっているが、その裏でSamsungが2026年中にパワー半導体ファウンドリに本格参入する模様である。同社は2023年に2025年よりパワー半導体に本格参入すると発表していたが、8インチのGaNパワー半導体生産ラインの準備などに時間がかかったらしく、2026年第2四半期にようやく本格生産を開始する見込みだと韓国メディアが伝えている

これまでも同社は、GaNデバイス事業として設計を除くターンキーサービスを展開してきたものの年間売り上げは100億円以下程度で、試験運用段階のウェハは外部調達であったが、本格参入に向けて現在、量産対応のエピタキシャルウェハを自社開発しており、それを適用する予定だという。

またSiCパワー半導体製造ラインも立ち上げる予定で、設計からパッケージングまでのフルサービスを提供し、1200~1700Vの製品を展開する計画。同社はGaN/SiCの本格量産に向けて独AixtronのMOCVDやエピ装置などの入手に約100億~200億円規模の投資を行った模様である。