エルピーアイジャパン(LPI-Japan)は11月4日、エンタープライズレベルのシステムを構築するための専門技術力を証明する新認定として、「LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリスト」および「LinuCレベル3 セキュリティスペシャリスト」を12月1日より提供開始することを発表した。

これに伴い、現行のLinuCレベル3試験(300試験、303試験、304試験)は1年間の並行配信後に終了する予定。

あわせて、最上位認定の「LinuCシステムアーキテクト」を「LinuCレベル4 システムアーキテクト」へと改称する。

Linux技術者認定試験「LinuC」とは

「LinuC」は、Linuxをベースにオープンな技術を通して段階的にキャリアを形成でき、ITエンジニアの成長と活躍のためのLinux技術者認定試験。「実践的(Practical)」「信頼できる(Credible)」「業界標準(Standard)」を特徴としている。

今回のLinuCレベル3新認定試験のリリース、LinuCシステムアーキテクトの改称により、「LinuC」の体系が刷新される。LinuCレベル3では、エンタープライズ領域で必要な高可用性、セキュリティ、認証認可など専門知識を獲得し、知見を広げていくことが求められる。また、レベル4では、積み上げた広範囲で深い技術力を基に、システム設計力を磨くことが求められる。

  • Linux技術者認定試験「LinuC」の新しい体系

    Linux技術者認定試験「LinuC」の新しい体系

理事長の鈴木敦夫氏は、「LinuC」について「動く環境で物事を理解することが求められる、実践的な認定。レベル間で出題が被らないので効率よく学習できる、ステップを踏んで技術力を獲得することが可能。また、全レベルがITSSのキャリアフレームワークに対応しているので、組織的な育成推進へも活用が容易となっている」と説明した。

「LinuCレベル3」の概要

LinuCレベル3の開発においては、技術動向の変化や生成AI時代における学習パスの変化などが考慮されている。昨今の技術動向としては、クラウド、仮想化、コンテナといった基盤技術の一般化、CI/CD、Infrastructure as Code、監視・ロギングなどによる継続的な運用・改善の広がりがある。

鈴木氏は、「生成AI時代だからこそ、正しい理解を持つ必要がある。生成AIをコントロールしないと、技術力が劣化し、0から考える胆力が消える恐れがある。生成AIに技術者は生成AIをコントロールする技術力が求められている。そのためには、高度な基礎技術力が必要」と語っていた。

「LinuCレベル3」は「プラットフォームスペシャリスト認定」と「セキュリティスペシャリスト認定」の2種類がある。

プラットフォームスペシャリスト認定

プラットフォームスペシャリストは、仮想化や自動化による柔軟性と冗長化や負荷分散による可用性を備えたプラットフォームをLinux/OSSで構築・運用できる高度な能力を認定するもの。

  • プラットフォームスペシャリスト認定の概要

    プラットフォームスペシャリスト認定の概要

セキュリティスペシャリスト認定

セキュリティスペシャリスト認定は、Linuxシステムのセキュリティ実装から運用まで一貫して対応できるセキュリティエンジニアとしての高度な能力を認定する。

具体的には、最小権限の原則に基づく堅牢化やセキュアな認証基盤の実装、攻撃手法の理解に基づく予防・検知・対応を行い、クラウドインフラと生成AI時代の脅威から企業資産を守る「最後の砦」としての役割を果たす。

  • セキュリティスペシャリスト認定の概要

    セキュリティスペシャリスト認定の概要

LPI-Japanは、年間5,000人のLinuCレベル3認定者を輩出することを目標としている。LinuCレベル3やレベル4の上級認定を通じて技術者のレベルアップを支援していくため、「学習環境の整備」「上級技術者への学習意欲の促進」に取り組む構え。