GenAI HR Awards 2025が開催
生成AI活用普及協会(GUGA)は10月9日、人と生成AIが協働する社会の実現に向けて、人的資本戦略の優れた実践事例を表彰する「GenAI HR Awards 2025」の最終審査・表彰式を同日開催、全4部門のグランプリを決定したことを発表した。
同アワードは、企業セクター・教育セクター・公共セクター(企業セクターは大手企業と中小企業の2部門)を対象に、人材育成や人事評価設計、組織変革など人的資本に関連する取り組みを広く募集し、優れた事例を表彰するというもので、今回が初開催となる。一次審査、二次審査を経てファイナリストが選出。各部門のグランプリをかけて、同日開催の「NexTech Week 2025【秋】第6回 AI・人工知能EXPO」内に設置されたステージにてプレゼンテーションを行った。
その結果、グランプリは企業セクター(大手企業)はソフトバンクの「人的資本経営を基軸とした全社生成AI活用と価値最大化の仕組み」が、企業セクター(中小企業)はSALES ROBOTICSの「AI利用率98.7%。「AIが当たり前」の組織文化が、新たな顧客価値を創造する」が、教育セクターは麻生塾の「独自開発AI「Alis」が切り拓く教育DX!教職員の能力を最大化し、学校全体の人的資本価値を高める麻生塾の挑戦」が、公共セクターは兵庫県の南あわじ市役所の「自ら開発・実装する!人材育成とサービス向上の両立を目指す南あわじ市の挑戦」がそれぞれ受賞した。
グランプリ各社の取り組み
ソフトバンクの取り組み内容は、社内・事業の両面で生成AIを日本一活用する企業になることを目指し、社内風土醸成と実践機会提供、活用事例創出まで一気通貫で支える推進基盤を整備したというもの。全社員への学習機会を提供することで、2025年7月時点で社員の約13%がAI資格を保有するようになったほか、グループ全体での生成AI活用コンテストを通じて、1万件超の特許出願や事業化検討・支援を実現したという。
SALES ROBOTICSの取り組み内容は、「目の前の顧客に向き合う時間を増やす」ことをコンセプトに掲げ、全施策を展開。生成AI活用をミッションに組み込み、役員を含む全社員の資格取得を必須化することで、「全社ごと化」の徹底を図りつつ、事業の業務フローやシステムへ生成AIを統合し、当たり前に使う環境を整備した結果、生成AIの利用率は98.7%で毎日利用する割合も72.4%という高い値を達成したという。また、そうした日々の業務から生まれる生成AI活用の知見を、新たな顧客価値へと転換する事業モデルの構築も推進しているという。
麻生塾の取り組み内容は、教職員の能力を最大限に引き出し、教育の質を向上させることを目的に、現場の教員自らが主体となり、本当に必要な機能を盛り込んだ教職員専用AI「Alis(アリス)」を独自に開発・導入したというもの。授業準備から課題評価、校務に至るまで、教職員の業務を幅広く支援するAIで、直感的な操作性を重視することでAIやITに不慣れな教員でも簡単に扱える環境を整え、一部の教職員だけでなく組織全体で教育革新を推進できる体制を構築したという。
南あわじ市役所の取り組み内容は、人口4万2000人という小規模な地方自治体が、「最強の市役所」の実現に向けて「DX人材育成プロジェクト」を推進したというもの。DX専門職の雇用や外部からのDX人材の登用を行わず、内製化を軸とし、職員一人ひとりの研鑽と学び合いによる自走型チームの構築を推進する形で、身近な業務を見直し、生成AIなどの活用による小さな成功の積み重ねを通じて、全庁的なDX実現に向けた変革を拡大したという。
