セコムのグループ会社で、BPO・ICT事業を担うセコムトラストシステムズは9月2日、東京都内に新たに完成したデータセンター「セキュアデータセンターTC4」のサービスを10月1日から開始することを発表した。
本稿では、オープンに先駆け特別にデータセンターを見学させていただいた筆者が、データセンターの概要や内側の様子を紹介していく。セコムトラストシステムズ 技術本部 SDCサービス1部 第1グループ 課長の黒川良浩氏が案内してくれた。
セコムのセキュリティ技術満載の「セキュアデータセンターTC4」
「セキュアデータセンターTC4」は、約1000ラックが完備された都内に居を構えるデータセンターで、ハウジング利用からコロケーションまで顧客の利用規模に応じた提供が可能となっている。
さまざまなクラウドサービスが用意されているため、顧客の課題に合わせて、オンプレミス/パブリッククラウド/プライベートクラウドを組み合わせたハイブリッド環境を提供することができるという。
さらに、セコムグループのアット東京が、10月1日にサービス開始のクラウド&DC間接続サービス「AT TOKYO Business eXchange (ATBeX)」の東京西アクセスポイントを通じて、主要なクラウドサービスをよりセキュアかつ迅速に実現できるデータセンターだ。
黒川氏曰く、「セキュアデータセンターTC4」の最大の特徴は、「セコムグループならではの高度なセキュリティが完備されている」点だという。
「このデータセンターでは、セコムの先端技術を結集したフィジカルセキュリティとサイバーセキュリティを両輪として、24時間365日の有人体制でお客さまの大切な情報資産を保護します。日々変化する脅威への対応をセコムにお任せいただくことで、お客さまはビジネスに集中いただけます」(黒川氏)
実際にデータセンターを訪れて、驚いたのがセキュリティの堅牢さだった。
センター内では、常駐警備員の代わりに巡回警備や点検業務を行う、AIを活用したセキュリティロボットの「cocobo」や、カメラに対する不正行為も検知する、セコムオリジナルの「セコムAIカメラ」や「セコムAI行動検知システム」といった最新のセキュリティシステムが導入されている。
加えて、サーバ室に入るための扉には、共連れの防止のためにインターロック機能やアンチパスバック機能が搭載されていたり、受付の際に発行されるICカードと顔認証の両方が必要だったり、とかなり頑丈なセキュリティが張り巡らされている。
また、ラックは電気錠で厳重に管理されており、センター利用前に事前申請を行うことで解錠する仕組みになっている。
そして、なかでも特筆すべきはなんといっても「ボディスキャナ」と「X線検査器」が導入されている点だろう。
受付を済ませたデータセンターの利用者は、館内に入室するために「ボディスキャナ」と「X線検査器」での検査を受ける必要がある。
さながら空港の手荷物検査のような緊張感があるが、これにより外部からの記録媒体や不審物の持ち込みを防止。USBなど小型デバイスも検知するという。
セキュリティに力を入れているデータセンターでもここまでのセキュリティ対策をしているセンターはなかなかないそうで、セキュリティ商材を扱うセコムのプライドを感じられるような造りになっている。
物理とシステムの両面で顧客の情報を守る
さらに黒川氏は「セキュアデータセンターTC4における災害対策」の点でも自信をのぞかせていた。
「セキュアデータセンターTC4は、都心から30分圏内であることに加えて、活断層から離れている立地のため、地震による影響や液状化のリスクが低いことが特徴として挙げられます」(黒川氏)
同センターは、床耐加重1.5t/m2 以上の堅牢性、および免震構造により震度7の地震発生時でも継続してデータセンターの機能を維持することができる。
実際に耐震対策として設置している球面すべり支承と鋼製ダンパーを見せてもらったが、データセンターを支える全ての杭にこの耐震設備が装備されている様子を確認できた。
さらに、停電などに備えて、2カ所の変電所から本線予備線方式で特別高圧受電しているほか、非常用発電機、無停電電源装置などバックアップ用の電源設備を配備しているという。
黒川氏は、セコムがデータセンター事業に取り組む意義について、「安全・安心を商品として提供している企業として、物理的なセキュリティとシステムのセキュリティの両面からお客さまの情報を守っていくことがセコムの役目」と語っていた。





