
トランプ関税で揺れる自動車業界。米国への輸出車に15%の高関税が課されることになった中、各社で差が出てきた。ホンダやマツダ、SUBARUが2026年3月期の営業利益で4~5割の減益を見込む。一方でトヨタ自動車や米国依存度の低いスズキや三菱自動車は1~3割の減益に留まる。
「厳しい外部環境だが、原価改善を積み上げ、マイナス影響を縮小したい」(トヨタ)、「経営と現場が一体となって難局を必ず乗り越える」(マツダ社長の毛籠勝弘氏)、「大きな影響が残るが、米国を重要市場と位置付ける方針に変わりはない」(SUBARU社長の大崎篤氏)
これらの発言から日系メーカーが米国市場に依存している状況が透けて見える。マツダは米国販売台数が全体の約3割を占めている上に、そのうちの約8割は日本やメキシコからの輸出。今回の関税の影響額は2333億円で24年3月期の営業利益が吹き飛ぶ計算になる。
また、関税の影響額が2100億円に上り、24年3月期の営業利益の半分を占めるSUBARUに至っては約7割が米国販売で、そのうち半分を日本から輸出している。米国で事業を展開していないスズキでさえ、関税の影響額は400億円だ。
一方、日本での国内生産を維持しながらも関税や円高などの影響を凌いでいるのがトヨタ。関税の影響額は1兆4000億円だが、「通期で営業利益3兆円台を維持できるのは現場力の積み重ねだろう」(アナリスト)。同社の09年3月期時の地域別販売台数は北米が中心で約3割を占めていたが、今は中国やアジアでの販売台数を伸ばして2割超に依存度を下げている。
加えて、09年3月期に営業赤字に転落して以降、損益分岐台数の改善に奔走。さらに車検やタイヤなど消耗品、中古車販売など新車販売に頼らないバリューチェーンビジネスが「稼ぐ力を向上させ、損益分岐台数を改善させている」(トヨタ)。
米国市場は「堅調に推移している」というのが共通認識。それだけに関税で車両価格が上昇し、新車市場を冷え込ませる可能性もある。単純に関税分を価格に転嫁せず、「ジタバタしない」戦略をとるトヨタ。現地の顧客に適した商品を現地で開発し、現地で生産する本筋の経営を貫く考えだ。