
日本はモノをつくることを大切にしなくなっている
─ トランプ米政権の関税政策に世界中が混乱しています。こうした現状について、金丸さんはどのように受け止めていますか。
金丸 日本は戦後、一貫して米国に追いつけ、追い越せで懸命に頑張ってきました。そして、米国をリーダーとして付いていったら、民主主義や自由貿易というこれまでの大前提がトランプ氏によってひっくり返されました。
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それでわれわれ日本人はアタフタしているわけですが、昨今の混乱ぶりを見ていると、戦後生まれのわれわれがいかに平和に慣れ、世界の脅威を感じずに生きてきたかということを思い知らされます。
社会変動の大きさでいえば、戦前、戦中の時代に比べると、今のトランプ関税は大したことではありません。われわれの親世代が飢餓やインフレを乗り越えてきたことを思えば、関税が何%上がろうと騒ぎたてずに大きく構えるべきだと思っています。
コメの値段が上がったことが連日ニュースで報じられていましたが、米国では全てのモノが値上がりしていて、日本の比ではありません。先日アメリカ人と話したときも「日本人はなぜそんなに大騒ぎするのか」と不思議がられました。
─ なるほどね。安倍政権時に規制改革推進会議で農業ワーキンググループの座長をつとめるなど、これまで農業改革に向けて提言をしてきた金丸さんですが、現在のコメ問題をめぐる状況をどのように見ていますか。
金丸 これはもう起こるべくして起きたことです。日本は50年以上にわたって減反政策を進め、毎年計画的にコメの生産量を減らしてきました。生産量を減らすことで価格を維持する政策を続ければ、いつか予期せぬことが起きたときにコメが無くなることは皆分かっていたはずです。
わたしは減反して、そこに補助金を出すというのは一種の麻薬だと思っています。モノをつくらない方がいい産業なんて他にはありません。
今回のコメ不足の原因は高温障害と言われていますが、温暖化はこの数年で急速に進んだわけではありません。農作物に対する温暖化のリスクが明らかだったにもかかわらず、何も手を打たずに減反政策を続けてきた。今日のコメ不足は、農政の失策と言っていいと思います。
─ これは長年、問題を放置してきたツケですね。
金丸 そうですね。ただ、昨年や一昨年に比べてコメの値段が高くなったとはいえ、コメ自体が無くなったわけではありません。需給バランスが崩れたことが問題なんです。
それにしても今回の騒動で、コメは日本人に一番なじみのある食品だということを改めて感じました。コメ離れと言われて久しいですが、皆こんなにお米が好きだったのかと。
─ なるほどね。でも、家庭の主婦はやりくりするのが大変ですよね。
金丸 例えば、中学生や小学生で部活をしているお子さんがいたら、せめてお弁当にはご飯を多めに入れてあげたいって思いますよね。今回はこういう子育ての真っ只中で、最も日本社会に貢献してくださっている層と、年金で生活するしかない、社会的に弱い立場の高齢者の方々が最もダメージを受けています。政治や行政の責任は大きいと思います。