The Economic Timesはこのほど、「At Amazon, some coders say their jobs have begun to resemble warehouse work - The Economic Times」において、生成AIがソフトウェアエンジニアの仕事の質を変えたと伝えた。
近年はAIエージェントの登場によりホワイトカラーの置き換えが進み、失業者が増加するのではないかとの懸念が高まっている。そのような中、ソフトウェアエンジニアにも負の側面が現れ始めたとしてその概要を伝えている。
企業のコーディング文化に急速な変化
The Economic Timesによると、Amazonの最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務めるAndy Jassy氏は、顧客が望むものをできる限り早く提供しなければ競合他社より優位に立てないとして、より迅速に作業することが不可欠だと述べたという。そして、その目標達成に役立つものとして、AIによるコーディングを挙げたとされる。
同様の考えは他の企業にもみられ、Shopifyの最高経営責任者は「AIの使用が今や基本的な期待値である」と述べ、従業員のパフォーマンスレビューに「AIの使用に関する質問」を追加すると発表したという。
この変化は熟練したソフトウェアエンジニアをコーディング作業から解放し、より興味深い仕事への集中を可能にするメリットをもたらすとの指摘がある。しかしながら、経験の浅いエンジニアには過度な業務速度を求めるデメリットをもたらし、キャリアアップを不当に阻害するとの指摘もある。
経営者はさらなる効率化を求める
ソフトウェア開発に生成AIを導入すると、コーディングの一部を自動化できる可能性がある。自動化に成功したエンジニアはコーディング作業から解放され、生成されたコードのデバッグ作業に従事することになる。この仕事の質の変化は全体の効率化につながる可能性があり、前述した企業は期待した成果を得られたものとみられる。
しかしながら、現場のエンジニアは必ずしもこの変化を好ましく思っていないようだ。一部のエンジニアは、AIの導入により達成感の得られるコーディング作業が失われ、他人のコードを読むだけの傍観者のような仕事にシフトしたと述べている。
コーディング以外の作業をAIで自動化できれば理想的だったが、実際は労働意欲につながる作業が失われ、退屈な作業が残されることになった。
それでもエンジニアにはさらなる効率化が求められており、退屈な作業をどれだけ早く終えられるかが、今後の評価につながっていくことになる。記事の最後には歴史家のSidney Fine氏が残したとされる、典型的な労働者について書かれた一文が添えられている。
「彼には以前の仕事のように、仕事のペースを決めたり、仕事のやり方を決めたりする自由はなかった」