米国サンフランシスコで12月7日~11日にかけて開催されている半導体の国際学会「IEDM 2024」の概要に関する説明会が開催された。

それによると、今回の応募件数は763件で採択件数は274件、採択率は36%という狭き門であったという。応募件数、採択件数ともに過去最高を記録したが、アジアからの応募が全体の66%となり、採択件数も55%と高い割合となった。国別の発表はなかったが他の国際会議同様、中国からの応募や発表件数が増加している模様である。組織別の採択件数の割合は、アカデミアが60%、産業界36%、政府系研究機関4%となっている。

  • IEDMの投稿論文数および採択論文数の推移

    IEDMの投稿論文数および採択論文数の推移 (出所:IEDM、以下すべて)

プログラム委員会からは、最近の注目テーマを集中的に議論するフォーカスセッションで取り上げられる5つのテーマの概要説明があった。

テーマ1:AI向けメモリ

プロセッシング・イン・メモリ(PIM)やイン・メモリ・コンピューティング(IMC)を含め、AI向けメモリ技術の最新動向が議論される。SK hynix、IBM、Macronix international、ETH Zurich(チューリッヒ工科大学)などが発表を行う。

  • AI向けメモリ分野の主要発表

    AI向けメモリ分野の主要発表

テーマ2:低侵襲の神経インタフェース技術

人と接続するための低侵襲インタフェース、生体適合材料、有機エレクトロニクスなどが議論される。imec、中国科学アカデミー、米カリフォルニア州立大学アーバイン校、ハーバード大学などが発表を行う。

  • 人とのインタフェースのための神経インタフェース技術分野の主要発表

    人とのインタフェースのための神経インタフェース技術分野の主要発表

テーマ3:先進半導体および先端パッケージング

半導体技術の進歩に伴い製造変革のカギを握るトピックスとしてGPU IPチップのプロセス技術・設計・システム・アルゴリズムの同時最適化、ヘテロジニアス・コンピューティング、革新的ウェハボンディング、IMCなどについてNVIDIA、AMD、Intel、TSMCなどが発表する。

  • 先進半導体および先端パッケージング分野の主要発表

    先進半導体および先端パッケージング分野の主要発表

テーマ4:半導体技術のイノベーション

プロセスの微細化からインターコネクト技術に至る半導体技術の進歩について議論が行われ、Intel、IBM、SK hynix、Micron Technologyなどが発表する。

テーマ5:持続可能な世界に向けたパワーデバイス技術

高電圧・大電流動作に関してGaNやSiCに焦点を当てる形で、仏Soitec、東芝デバイス、Transform、NoMIS Poweなどが発表する。

  • 持続可能な世界に向けたパワーデバイス関連の主要発表

    持続可能な世界に向けたパワーデバイス関連の主要発表

IBMとRapidusが2nm技術の一端を発表

既報のとおり、IBMとRapidusが2nmプロセス以下のナノシートGAA向けに しきい値電圧を細かく制御できるプロセス技術を発表している。

この論文はIBMのR.Bao氏を筆頭著者、Rapidusの鬼木悠丞氏(元imec/TSMC)を第2著者としてIBMから31人、Rapidusから8人が名を連ねている。両者にとっての初の共同発表であるが、一般にIEDMでの発表はチャンピオンデータが基本で、量産適用にはさらに複数の壁を超える必要がある。Rapidusでは、2025年4月より2nmの試作を開始、2027年からの量産開始を計画しており、今後の研究開発の進展が注目される。

なお、IEDM 2024の参加登録者(オンライン含む)は12月16日以降、オンデマンドでほとんどの技術発表を視聴することができる。