Samsung Electronicsが東南アジアやオーストラリア、ニュージーランドなどで人員削減を進めており、当該地域の従業員の10%ほどが解雇される可能性があると、米Bloombergが報じている。またロイターは9月、先行する形でSamsungが海外のマーケティングおよび経営管理スタッフを最大30%削減する計画を伝えていた

今回の人員削減の規模は、現地の労働法や財務状況によって異なる可能性があるとともに、これら以外の海外子会社でも人員削減が計画されているという。

Samsungの全従業員数は約26万7600人で、海外従業員は過半の約14万7000人ほど。今回の動きは、その10%ほどを削減する予定だという。また、韓国内の人員削減予定は今のところないという。

Samsungの広報担当者は、メモリ市場の需給に応じて、一部の海外子会社は業務効率の改善のため定期的な人員調整を行っており、特定の役職に対する具体的な目標は設定していないと語ったという。同社はこれまでもメモリ市場の周期的な性質に応じて従業員数の調整を行ってきた経緯があり、最近もインドとラテンアメリカの一部で約10%の従業員を削減した模様である。

AIニーズに高まりでAI半導体に注目が集まっているが、そこに用いられるメモリは競合のSK hynixに先行され、ロジックはTSMCが優勢となっており、Samsungの株価は2024年に入って20%以上下落するなど苦戦を強いられている。

韓国のAIファブレスがTSMCに製造委託か?

韓国のAI半導体ファブレス各社が、製造委託先をこれまでのSamsungから、次世代品の量産をTSMCに委託した模様であるとZDNet Koreaが報じている

韓国の業界筋によると、例えばFuriosaAIは第1世代チップ「Warboy」ではSamsungの14nmプロセスを使用したが、第2世代チップ「Renegade」ではTSMCの5nmプロセスを採用したという。Renegadeは、CoWoSとHBM3を搭載した2.5Dパッケージング技術を採用した韓国初のAI半導体で、2024年第4四半期に発売予定の次世代品「RenegadeS」もTSMCの5nmプロセスを採用した模様である。

同様にDeepXも、従来品である「DX-M1」AIアクセラレータと「DX-H1」AIサーバアクセラレータをSamsungの5nmプロセスで、「DX-V1」AI SoCソリューションを28nmプロセスで製造してきたが、次世代品となるSoC「DX-V3」は、TSMCの12nmプロセスを採用し、2024年下半期にサンプル出荷を目指しているという。DeepXは現在、5nm以下の高度なプロセスを使用した次世代チップの開発についてSamsungと協議していると言われている。

このほか、Moblinetは、SamsungとTSMCの両方を活用しているという。同社の第1世代チップ「Eris」はSamsungの14nmプロセスを採用し、2024年3月より量産を開始した。第2世代チップ「Regulus」はTSMCの12nmプロセスを採用し、テストを終えたところで、2025年に発売される予定だという。

韓国の半導体関係者の中には、Samsung Foundryは大手顧客の確保に注力するだけでなく、中小ファブレス向けサービスの拡充も必要だとする声もある。TSMCが小規模なファブレスとの協業で成長していったのと同様に、Samsungもプロセス技術の強化に加え、IPおよびファブレス向けエコシステムを重視する必要があると指摘している。