ロームと中国の総合車載Tier1メーカーであるUnited Automotive Electronic Systems(UAES)は、SiCパワーデバイスに関する長期供給契約を締結したことを発表した。

UAESはRobert Boschと中聯汽車電子(上海汽車系の中国企業)との合弁企業として1995年に設立された総合車載Tier1メーカーで、エンジンマネジメントシステム、トランスミッション制御システム、先進的なコネクテッドシステム、電力駆動システムという4つの大きな事業部門を持ち、2023年の売上高は370.88億元としている。

UAESとロームは、2015年より技術交流を開始し、SiCパワーデバイスを搭載した車載アプリケーション開発で協力関係を築いてきた経緯があり、2020年には中国上海のUAES本社に「SiC技術共同実験室」を設立。SiCパワーソリューション開発のパートナーシップの強化を図ってきたほか、2021年には、ロームのパワーソリューションが評価された結果、優先サプライヤーに選定されており、こうした取り組みが今回の長期契約に結び付いた模様である。

すでにこうした長年にわたる密接な技術パートナーシップに基づく形で、電気自動車(EV)用オンボードチャージャーなど、ローム製SiCが搭載された車載製品も数多く量産・採用されており、EVのさらなる高効率化に向けたロームのSiCパワーデバイスを搭載した先進的なインバータモジュールについても2023年11月より顧客への供給を開始。同モジュールの今後の需要拡大に応えることを目的に今回の長期供給契約を締結したと両社は説明している。そのため両社は、今後も継続して連携を深め、SiCを中心とした革新的なパワーソリューションの開発を加速し、自動車の技術革新に貢献していくとしている。

  • ローム執行役員 パワーデバイス事業本部 本部長の野間亜樹氏

    左がローム執行役員 パワーデバイス事業本部 本部長の野間亜樹氏、右がUAES副総経理の郭晓潞氏 (提供:ローム)