ロームは6月20日、独ヴィテスコ・テクノロジーズとSiCパワーデバイスに関する長期供給パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

ヴィテスコは、独コンチネンタル・オートモーティブが2019年にパワートレイン部門を切り離して誕生した電動パワートレインを中心とした駆動系部品の開発・販売を手掛ける企業で、今回の契約は両社が2020年に締結した「電気自動車向けパワーエレクトロニクスにおける開発パートナーシップ」に基づくものだという。

これまで両社はこの開発パートナーシップに基づいて技術連携を行い、電気自動車(EV)に最適なSiCパワーデバイスおよびSiC搭載インバータの開発協議を進めてきており、この最初の成果としてロームのSiCチップを搭載した先進的なインバータの供給を早ければ2024年から開始する予定で、すでに大手2社のEVへの採用が決定しているという。

今回の長期供給契約はこうしたEVへの採用を見越したもので、これによりヴィテスコは、EV開発において戦略的かつ重要なアイテムであるSiCチップのキャパシティを確保することとなるとのことで、その取引額は2024年から2030年までの期間で1300億円以上となることが見込まれるという。

なお、ロームでは2025年にSiC市場シェア30%以上を目標に掲げており、今回の契約による深いビジネス関係の構築はその実現につながるものであると説明している。

  • ローム 取締役 常務執行役員 CFOの伊野和英氏

    左がローム 取締役 常務執行役員 CFOの伊野和英氏、右がヴィテスコ・テクノロジーズ CEOのアンドレアス・ヴォルフ氏