TrendForceによると、2024年第2四半期のファウンドリ業界は、中国のECセール「618商戦」とコンシューマ向け電子機器の在庫が健全レベルに戻ったことを背景として、緊急注文が発生するなど、稼働率の向上に加え、AI半導体に対する需要の高止まりの継続により、売上高上位10社の合計売上高は前四半期比9.6%増の320億ドル規模に達した模様だという。

  • 2024年第2四半期のファウンドリ売上高ランキングトップ10

    2024年第2四半期のファウンドリ売上高ランキングトップ10 (出所:TSMC)

売上高上位5社は、順にTSMC、Samsung Electronics、SMIC、UMC、GlobalFoundries(GF)で変動はない。6位以下は、中HuaHong Group、Tower、Vanguard International Semiconductor(VIS)、Powerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)、Nexchipとなっている。

首位を堅持したTSMCのウェハ出荷量は、Apple関連およびAI半導体需要により、同3.1%増を達成。先端プロセスの伸びもあり売上高も同10.5%増の208億2000万ドルを達成した。SamsungもApple関連のほか、Qualcommの5/4nm 5Gモデムや28/22nm OLED DDIなどが増加し、売上高は同14.2%増の38億3000万ドルと伸ばしている。SMICは、618商戦に向けた緊急注文に伴いウェハ出荷量を同17.7%増としたこともあり、売上高も同8.6%増の19億ドルまで伸ばしている。UMCもテレビ関連ICや民生電子機器、ローエンドマイコンなどの緊急注文によりウェハ出荷を同2.6%増、売上高を同1.1%増の17億6000万ドルと伸ばした。そしてGFもウェハ出荷量を伸ばしたが、その伸びの一部は平均販売価格(ASP)の低下により相殺され、売上高は同5.4%増の16億3200万ドルに留まった。

6位以下で注目はVISで、618商戦に関連したディスプレイドライバ(DDI)をはじめとする緊急注文のほか、中国外のPMIC顧客からの需要増もあり、稼働率が向上。結果、ウェハ出荷量は同19%増となり、売上高も同11.6%増と2桁成長を達成。PSMCとNexchipを抜いて前回の10位から8位までジャンプアップを果たした。

一方、Nexchipは売上高を同3.2%減の3億ドルと減少させる結果となった。また、2023年第3四半期に9位にランクインを果たしたIntel Foundryについては、2024年第1四半期に44億ドル、同第2四半期に43億ドルの売り上げを達成したが、売上高の98~99%は社内顧客からによるものであり、外部顧客からの売上高のみを考慮すると、トップ10圏外となったと推測される。

なおTrendForceは、第3四半期は伝統的なピークシーズンの始まりであると指摘しており、不確実な世界経済状況を背景とした消費者心理の冷え込みがあるものの、年後半には次世代スマートフォンやPC製品が登場することで、SoCならびに周辺ICの堅調な需要を生み出すことが予測され、先端プロセスを中心に成長の下支えとなることが期待されるとしている。また、先端プロセスのみならず、成熟プロセスも含めて稼働率が継続して高まり、それに伴い各社の売上高も伸びることが期待されるとしている。