アドビは8月7日、日本や米国など6カ国のマーケターと消費者を対象に実施した「マーケター/消費者の生成AI活用実態調査」の結果を公表した。日本のマーケターは主に会議の文字起こしやデータ分析に生成AIを利用しており、ビジュアルアイデア、画像生成の利用率は他国より低いことが明らかになった。

  • 企業のマーケティング活動における生成AIの活用状況

    企業のマーケティング活動における生成AIの活用状況

同レポートは、2024年2月~5月、日本、米国、英国、フランス、インド、オーストラリアの日常的にマーケティング業務に携わるマーケター2834人(従業員100人以上の企業のマーケティング担当者)および消費者8163人(日本の消費者は1000人)を対象に、アドビが実施した調査結果に基づくもの。

日本のマーケターの54%が生成AIを活用

日本のマーケターにおける生成AIの活用状況に関する調査結果によると、回答者の約54%が生成AIを活用しており(29%が日常的に、25%が実験的に活用中)、これは他国平均の約75%と比べて低い。例えば、インドでは92%、オーストラリアでは79%のマーケターが生成AIを活用している。

  • マーケティングにおいて生成AIを活用している業務

    マーケティングにおいて生成AIを活用している業務

日本企業のマーケティング関連業務における生成AIの活用上位3つは、会議の文字起こしや議事録作成(39%)、データ分析や消費者のインサイト分析(37%)、マーケティングコンテンツの文言作成(35%)であった。他国ではマーケティングコピーのアイデア生成、マーケティングコンテンツの画像生成、ソーシャルメディア用のコンテンツ作成が多く、社内だけでなく顧客向けコンテンツ制作にも使われている。

日本企業で生成AIをビジュアルアイデアや画像生成に活用している企業は27%にとどまった一方、インドでは61%、オーストラリアでは45%の企業が生成AIをクリエイティブ作成に活用していることがわかった。

  • 生成AIをビジュアルアイデアや画像の生成に活用している企業の割合

    生成AIをビジュアルアイデアや画像の生成に活用している企業の割合

現在、生成AIを業務で活用していない日本の回答者に懸念点は、生成AIが作成したコンテンツの有用性や正確性(41%)、プライバシーや顧客データの管理(29%)、自社ブランドの知的財産(IP)保護(29%)であった。

また、企業の生成AI活用に対し、消費者の約52%が有用であると回答している。今後、生成AIが顧客体験を向上させる分野として58%の消費者が迅速かつ、良質なカスタマーサービスの実現に有効と考えている。さらに、45%の消費者が高度なパーソナライゼーションや好みに沿った顧客体験の提供に役立つと回答している。