米MetaのInstagramが手掛ける「Threads(スレッズ)」が、7月5日でリリースから1年を迎えた。同社はこれに合わせて、サービスのこれまでのアップデートや現在のトレンド、今後の展望をメディア向けにオンラインで紹介した。

Threadsリリースから1年、グローバルで1億7500万アカウントが利用

Threadsの開発当初からのコンセプトは「誰の発言にも価値があると考え、利用者が自分の考えやアイデアを気軽にシェアできる場所を目指す」だ。限られた機能から提供を開始したものの、リリースから5日間で1億ユーザーを獲得したという。

現在の月間アクティブアカウントは全世界で1憶7500万。投稿の63%がテキストだけ、25%が写真を含む。1回の投稿で写真を10枚掲載でき、Instagramと比較して写真が小さく表示されることから、気軽な写真の投稿が多いとのことだ。また、これまでに作られたトピック(ハッシュタグ)の数は約5000万。

  • Threadsの動向

    Threadsの動向

Threadsの利用はアジアでアクティブ、各国の投稿の傾向は?

グローバルの中でも、特にインド、日本、台湾、韓国など、アジア太平洋地域の国でThreadsの利用がアクティブなのだという。日本のユーザーの傾向を見ると、グローバル平均よりも写真を含む投稿が多く、特に複数の写真を含むカルーセル投稿が人気だ。また、トピックをタグ付けした投稿もグローバル平均より多い。

台湾のユーザーは、グローバル平均よりも引用投稿が多い傾向がある。また、芸能人や人気アーティストがThreadsを活用してクリエイティブなコンテンツを発信している。インドでは他のユーザーをメンションする投稿や、動画を含む投稿が多いそうだ。

  • アジア圏ユーザーの傾向

    アジア圏ユーザーの傾向

Threadsが重視する3つのコンセプト

Threadsのプロダクト開発においては、「利用者がよりタイムリーに情報を発信できる」「安心して会話を楽しめるフレンドリーな場所を作り維持する」「クリエイターに価値を提供する」の3点に注力してきたという。以下、この3点を掘り下げていこう。

利用者がよりタイムリーに情報を発信できる

まず、タイムリーな情報発信については、2023年11月に検索機能を実装したほか、トピックのタグ付けも可能となった。これにより、ユーザーは自身の興味のある話題を見つけやすくなり、以前に増してコミュニティが活性化された。

Webで利用可能なデスクトップ版も改良され、自身のプロフィール、検索結果、フォローしているユーザーの投稿など、複数のタイムラインを一つの画面で閲覧できるようになった。表示するタイムラインはカスタマイズ可能で、それぞれのタイムラインが自動でアップデートされるため、興味のある話題を見つけやすいのだという。

  • デスクトップ版のThreads

    デスクトップ版のThreads

2024年には、NBA(バスケットボール)やMLB(野球)の試合スコアをリアルタイムで表示する機能を実装した。7月開催のMLBオールスターゲーム2024でもこの機能は利用可能だ。

安心して会話を楽しめるフレンドリーな場所を作り維持する

フレンドリーな場所を作るための機能として、2023年10月にGIF画像を投稿する機能と、アンケート(投票)機能が実装された。これらは、ユーザー同士のポジティブなコミュニケーションの創出を狙ったアップデートとのことだ。

  • GIFが利用可能に

    GIFが利用可能に

また、2024年4月には非表示ワードを設定する機能と、引用投稿が可能なユーザーを制限する機能が追加された。こちらは安心・安全なコミュニケーションを促すために注力した機能だという。

Threadsはユーザーのブロック機能も備えており、Threadsでブロックしたユーザーと同一のInstagramアカウントも同時にブロック可能。なお、ThreadsではInstagramのコミュニティガイドラインが転用されている。ユーザーの安全を守るために、Instagramと合わせて2016年以降で160憶ドルが投じられたそうだ。

クリエイターに価値を提供する

クリエイターへの価値提供を目的とした機能では、フェディバースへの対応が挙げられる。フェディバースとは「Federation(連合)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、SNSなどそれぞれ独立して接続されるサーバ群を指す。

Threadsでは、Mastodon(マストドン)などで使われるActivityPubをプロトコルとして採用。これにより、Threadsへの投稿はフェディバース上で連携する他のサービスにも連携して投稿できるようになる。クリエイターとしては複数のプラットフォームにリーチできるメリットがもたらされる。

反対に、ThreadsがAPI(Application Programming Interface)を公開したことで、他サービスからThreadsに投稿できたり、外部のツールを用いてThreadsのフォロワーを詳細に分析したりできるようになった。すでにThreads APIを利用したツールが海外では使われ始めており、今後は日本でも利用可能となる見込み。

  • フェディバースへの対応

    フェディバースへの対応