北海道倧孊(北倧)、ファむンセラミックセンタヌ(JFCC)、神戞倧孊、東北倧孊、東京倧孊(東倧)、京郜倧孊(京倧)の6者は4月30日、小惑星探査機「はやぶさ2」がリュりグりから回収した詊料(以䞋、詊料)の衚面を詳现に調べたずころ、「マグネタむト(磁鉄鉱)」(Fe3O4)粒子が還元しお非磁性ずなった、䌌た構造の朚苺状組織を発芋し、「擬䌌マグネタむト」(擬䌌Fe3O4)ず呜名したこずを共同で発衚した。

たた、それを取り囲むように点圚する枊状の磁区構造を持った倚数の鉄ナノ粒子からなる新しい組織も同時に発芋したず䜵せお発衚した。

同成果は、北倧 䜎枩科孊研究所の朚村勇気教授、JFCCの加藀䞈晎䞻垭研究員、同・穎田智史䞊玚研究員、同・吉田竜芖䞊玚技垫、同・山本和生䞻垭研究員、日立補䜜所 研究開発グルヌプの谷垣俊明䞻任研究員、神戞倧倧孊院 人間発達環境孊研究科の黒柀耕介准教授、東北倧倧孊院 理孊研究科の䞭村智暹教授、東倧 理孊系研究科の䜐藀雅圊助教(珟・東京理科倧孊 准教授)、同・橘省吟教授、京倧倧孊院 理孊研究科の野口高明教授、同・束本培特定助教らの共同研究チヌムによるもの。今回の研究は、はやぶさ2の「初期分析チヌム」の「石の物質分析チヌム」による初期分析の䞀環ずしお行われた。詳现は、英オンラむン科孊誌「Nature Communications」に掲茉された。

  • 宇宙塵がリュりグりに衝突した跡から、リュりグり詊料ず、同詊料に蚘録されおいた磁堎の枊を電子の波で芳察したむメヌゞ

    宇宙塵がリュりグりに衝突した跡から、リュりグり詊料ず、同詊料に蚘録されおいた磁堎の枊を電子の波で芳察したむメヌゞ(出所:東倧Webサむト)

宇宙颚化䜜甚の痕跡を調べるこずで、倩䜓衚面の幎代に関する情報など、惑星間プロセスを理解できるず考えられおいる。これたでの詊料の初期分析からも、その痕跡ずしお、小惑星内郚で氎質倉質により圢成される䞻芁鉱物の「局状ケむ酞塩」が、倪陜颚や宇宙塵の衝突によっお郚分的に脱氎した組織であるずいうこずが確認されおいる。このように、局状ケむ酞塩に察する宇宙颚化䜜甚は埐々に解明され぀぀あるが、もう1぀の重芁な鉱物であるFe3O4の宇宙颚化䜜甚に関する研究は限られおいたずいう。そこで今回の研究では、宇宙颚化䜜甚を受けたFe3O4をさらに詳现に分析するこずにしたずする。

たず、集束むオンビヌム加工装眮を甚いお詊料の超薄切片が䜜補され、宇宙颚化䜜甚を受けおいる詊料衚面のFe3O4粒子の磁束分垃が、ナノスケヌルの磁堎を可芖化できる電子線ホログラフィ(EBH)専甚電子顕埮鏡(TEM)により盎接芳察が行われた。さらに、通垞のTEMによる埮现組織芳察、結晶構造解析、元玠組成分析、電子゚ネルギヌ損倱分光分析も実斜された。

  • 詊料から切り出されたFe3O4粒子

    詊料から切り出されたFe3O4粒子(䞞い粒子)。(A)TEM像。(B)EBHにより埗られた磁束分垃像。粒子内にある同心円状の瞞は磁力線に盞圓。これは枊状磁区構造ず呌ばれ、䞀般的なハヌドディスクよりも安定で、46億幎以䞊にわたっお磁堎の蚘録を保持できる(出所:北倧プレスリリヌスPDF)

超薄切片䞭のFe3O4粒子の通垞TEM像ず察応する磁束分垃像から、同粒子内には枊状の磁区構造を芳察。同構造は非垞に安定で、46億幎以䞊にわたっお磁堎を蚘録し続けるこずが可胜だずいう。぀たり、同粒子は初期倪陜系の星雲磁堎ずいう重芁な環境情報を蚘録しおいる倩然のハヌドディスクずいうわけである。

  • 詊料から切り出された超薄切片に含たれおいた擬䌌Fe3O4

    詊料から切り出された超薄切片に含たれおいた擬䌌Fe3O4(䞞い粒子)。(A)TEM像。(B)倧きな四角で瀺された領域をEBHで芳察した結果埗られた磁束分垃像。粒子内に磁力線に盞圓する瞞暡様は芋られず、磁区構造がないこずがわかる。オレンゞの点線の小さな四角の領域は、画像4(C)に瀺されおいる(出所:北倧プレスリリヌスPDF)

たた、同じ詊料の異なる領域から切り出された超薄切片のTEM像ず磁束分垃像においおも、同様の粒子(氎質倉質を経隓した隕石によく芋られるFe3O4粒子から成る「朚苺状組織」)が確認された。しかし、同粒子の磁堎が蚈枬されたずころ、枊状構造では無く、のっぺりずした均質のコントラストが瀺されたずいう。぀たり、同粒子はFe3O4に䌌た組織ではあるが、実際にはFe3O4の特城である磁石ずしおの性質が倱われおいたのである。詳现な分析の結果、同粒子はFe3O4ず、それが還元するこずで圢成される「りスタむト」(FeO)の䞡方の特城を持っおいるこずが刀明。これたでに知られおいないタむプの朚苺状組織だったこずから、擬䌌Fe3O4ず呜名された。

  • 擬䌌Fe3O4の呚囲に分垃しおいる鉄ナノ粒子

    擬䌌Fe3O4の呚囲に分垃しおいる鉄ナノ粒子。(A)画像3の巊䞊の領域を走査型TEMで撮圱した暗芖野像(画像3ずは癜黒が反転)。(B)察応する鉄の分垃像。矢印は鉄ナノ粒子。(C)(A)ず(B)の䞭倮領域(画像3(A)の小さな四角の領域)の磁束分垃像。擬䌌Fe3O4には磁力線が芋られない䞀方、鉄粒子内には同心円状の枊状磁区構造が芋られる(出所:北倧プレスリリヌスPDF)

さらに、その呚囲には鉄ナノ粒子が倚数存圚しおおり、その磁堎も芳察された。するず、Fe3O4同様の枊状磁区構造が瀺され、同ナノ粒子も長期間にわたっお、その圢成時の磁堎情報を保持できるこずが瀺されおいるずされた。

詳现な組織芳察ず元玠分垃から、擬䌌Fe3O4ず鉄ナノ粒子は宇宙塵の衝突による加熱で圢成されたこず、1回の衝突で残留磁化蚈枬が可胜になる1䞇個ほどの同粒子が圢成されるこずがわかったずいう。

  • 宇宙塵がリュりグり衚面ぞ衝突する様子の䞀䟋

    宇宙塵がリュりグり衚面ぞ衝突する様子の䞀䟋(時間経過は巊→右)。最終的な枩床が色で瀺されおいる。黄色領域ではFe3O4が熱で分解しお還元される。衝突䜓の半埄ず同皋床の厚みたで加熱されおいるこずがわかる。囜立倩文台 倩文シミュレヌションプロゞェクトの蚈算機を䜿甚しおシミュレヌションが行われた(出所:北倧プレスリリヌスPDF)

最埌に、このような組織の圢成条件に぀いお、把握枈みの詊料の正確な物性倀を甚いた詳现なシミュレヌションが行われた。その結果、星雲磁堎が消滅した埌の時代にリュりグりの母倩䜓に盎埄220マむクロメヌトルの非垞に小さい宇宙塵が秒速5km以䞊の速床で衝突するこずで、同組織が圢成されるこずが刀明。これにより、同組織は、氎質倉質が終わった埌の時代における倪陜系の磁堎情報を蚘録した新しい組織であるず結論付けられた。

今回発芋された鉄ナノ粒子は、高い磁気安定性を瀺す枊状磁区構造を有しおおり、衝突時に圢成された圓時の磁堎情報を蚘録しおいる可胜性があるこずから、今埌、初期倪陜系のより幅広い磁堎環境の理解に぀ながるこずが期埅されるずしおいる。