onsemiは、中国の新エネルギー車(NEV)メーカーである理想汽車(Li Auto)と電気自動車(EV)向け半導体の長期供給契約の延長契約を締結したことを発表した。
理想汽車は2023年11月、EVの多目的車(MPV)「理想MEGA」を発表したが、MEGAは12分の充電で航続距離500kmを実現する800Vシステムを搭載しており、onsemiはこうした800V対応車に自社のSiCパワー半導体ソリューション「EliteSiC 1200V」を提供することで、エネルギーの使用効率向上、充電時間の短縮、航続距離の伸長が期待できるという。
また理想汽車は現在、同社のレンジエクステンダー式EVにonsemiの車載向けCMOSイメージセンサを搭載しているが、今回新たに結んだ契約では、そうしたイメージセンサを理想汽車の将来モデルにも拡大することも含まれているという。onsemiは8Mピクセルのイメージセンサを活用することで、理想汽車の次世代車のインテリジェントな認識機能が向上し、より安全な先進運転支援システム(ADAS)が可能になり、L3/L4レベルの自動運転システムへの移行を容易にするとしている。
理想汽車は、今回の契約に併せて「理想汽車は『モバイルホームを作り、幸福を創り出す』という自社のビジョンの達成に向けて、航続距離延長型電気自動車(EREV)と次世代800Vバッテリ式電気自動車(BEV)を並行して2025年までに開発することを目指している。そのためには、安定かつ高信頼性のSiCサプライチェーンが不可欠である」とコメントを出しており、エンドツーエンドのSiCサプライチェーン、スケーラブルな生産能力、SiC製造プロセス全体の包括的な管理により、高品質と高信頼性を実現する最新技術の長期供給が可能なonsemiがパートナーとして最適であるとしている。
米国商務省が対中半導体輸出規制を推進する一方、IntelやMicron Technology、onsemiなど多くの米国の半導体メーカーが、法令を遵守しつつも、未規制の分野でしたたかに世界最大市場である中国での拡販を続けている。そうした各社の動きを踏まえて米国商務省は、中国への締め付けをますます強めようと、規制対象となる半導体の範囲をさらに広げることを検討しているという。