先進セラミック材料:優れた熱的特性

アルミナ | 良好な一般使用特性を備えた熱抵抗

アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)は、優れた総合性能を備えた、最も一般的に使用されているファインセラミックスです。クアーズテックでも1500℃以上の耐熱性を備え、様々な用途で使用できるアルミナを100種類以上設計した実績があります。また、ジルコニア強化アルミナは、高い耐熱衝撃性と破壊靭性の増加を実現するために設計された特殊なアルミナです。

窒化アルミニウム | 高熱伝導率

窒化アルミニウム(AlN)は、高い熱伝導性と強力な電気抵抗の組み合わせを提供します。これらは、多くの電子用途において、優れたソリューションとなるものであり、電気システムの熱を、迅速に放散して効率を最大化します。

石英ガラス | 耐熱衝撃性と低熱膨張性

合成石英ガラスや溶融シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)などの石英ガラスは、低い熱膨張と高い純度により、優れた耐熱衝撃性を示します。こうした独特な特性と熱安定性により、このファインセラミックスは、急速熱処理用途に使用することができます。

ケイ酸塩 | 耐熱衝撃性

ケイ酸塩セラミックスは、粘土、カオリン、長石、ソープストーンなどの天然ケイ酸塩源から開発された多相材料です。現在のケイ酸塩は、電気絶縁体や鋳造フィルターといったような技術用途に役立つものとなっています。

  • ステアタイトは、高い熱性能が要求される製造プロセスで使用されます。
  • コーディエライトは、優れた熱衝撃特性と低い熱膨張率を兼ね備えており、絶縁体として優れた材料です。
  • ムライトは、耐熱衝撃性と絶縁耐力に優れており、製造用途における電子部品に最適なものです。
  • 磁器は、クアーズテックがファインセラミックスとして最も長く供給し続けている製品で、釉薬をかけた後、磁器は優れた熱特性を示します。
  • CoorsTek GLASSUNは、低い熱膨張係数、高い熱衝撃耐性、低い熱伝導率、化学薬品や溶融金属に対する耐食性を備えた高純度のケイ酸塩耐火材料です。

炭化ケイ素 | 熱安定性

炭化ケイ素(SiC)は、高温でも、高い硬度、耐摩耗性、耐食性、および、強度を示します。クアーズテックでも、以下のような特定用途の要件に適合するように、最適化された特性と機能を提供する、様々な炭化ケイ素プロセスと組成を設計してきました。

  • PureSiC化学蒸着(CVD)炭化ケイ素は、過酷な環境でも腐食に強く、99.9995%という高純度のクリーン製造に最適なものです。これは優れた熱衝撃耐性と長時間の高温製造プロセスに耐える能力が必要な、半導体製造で使用される急速熱処理プロセス(RTP)に最適な材料です。
  • UltraClean再結晶炭化ケイ素の粒子構造は、高純度を必要とする精密な製造に適した優れた熱材料特性を提供します。

窒化ケイ素 | 高温強度と耐久性

窒化ケイ素(Si3N4)は、その独特な粒子構造により、優れた耐熱衝撃性とともに、高い強度と破壊靭性を実現します。この材料は、高い動的応力、熱の厳しさ、および、厳しい信頼性要件を伴う用途に最適です。

ジルコニア | 高い耐熱性

ジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO2)には、優れた強度、高い破壊靭性、耐摩耗性、そして、高温耐性を兼ね備えた、独特な結晶構造でできています。ジルコニアの中には、微小亀裂が形成されると膨張する結晶構造で設計されているものもあり、それらは、亀裂の成長を阻止し、脆性破壊を防ぎます。こうした材料は、極端な機械環境、特に、衝撃を受けやすい用途に最適なものです。

  • マグネシア部分安定化ジルコニアは、高温耐性、耐久性、耐食性材料が必要とされる過酷な使用条件で使用され、過酷な用途の機械部品やバルブに最適なものです。
  • イットリア部分安定化ジルコニアは、非常に強く、極端な環境でも使用できます。これは、耐疲労性と優れた衝撃荷重に適合する絶縁特性を必要とする機械的用途に優れた材料です。
  • MATERIAL PROPERTY POWERHOUSE

材料特性を踏まえることで最適なセラミックスを実現

先進セラミック材料の特性は、単独で見ると特徴的ですが、これらの材料を際立たせるのは、1つの特性によるものではありません。実際にセラミックスが優れているのは、それぞれの用途に対応した素材を設計できるからです。

クアーズテックでも個々の仕様を満たすように設計された先進セラミック材料を、400種類以上提供してきました。エンジニアは、最も厳しい要求特性から始めて、機械的、熱的、電気的、化学的特性を適切に組み合わせたセラミックスを見いだす作業を行います。また、製造可能性を考慮した設計も重要なポイントとなると言えるでしょう。セラミックスを活用したい企業は、材料に対する専門知識だけでなく、生産能力や加工技術など、さまざまな点を考慮したうえで、最適なパートナーを選択する必要があるでしょう。

  • 6つの特性

    0時から時計回りに「硬度」「引っ張り強度」「電気抵抗」「最大使用温度」「耐腐食性」「耐摩耗性」

本記事は米国CoorsTek社の発行したeBook「How Technical Ceramics Outperform Metals and Polymers」を邦訳・改編したものとなります