はじめに

情報化時代の技術は、これまでにない非常に速いペースで進歩しています。原材料の生産から最終製品まで、産業用および民生用の各種技術や装置に対する要求も、同様に急速に高度化しています。このため、設計エンジニアは、高強度、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等が求められるシステムの性能を向上させる手段を常に模索しています。金属や樹脂は、大きく進歩していますが、これらの材料の多くは、消費者、OEM、および、ほぼすべてのセグメントのサプライチェーンから達成が難しいレベルの性能を求められています。

そこで、ファインセラミックスの登場です。

セラミックスは、金属や樹脂が使用できない極端な高温や腐食環境に耐えることができ、非常に硬く長寿命です。また、セラミックスの多くは、金属や樹脂とは異なり、電気絶縁性と熱伝導性の両方を同時に実現できるため、エレクトロニクス基板として、優れた性能を発揮します。セラミックスは、金属と同等の強度を持っており、機械的要求の厳しい用途においては、金属を上回る性能を発揮するように設計することも可能です。

「我々は、日々ファインセラミックスに関わっています。」

セラミックスは、非金属の無機固体と定義されています。ガラス、セメント、陶磁器なども、このカテゴリに分類されていますが、ファインセラミックスは、これらの中でも独自のカテゴリに分類されます。クアーズテックなどの専門メーカーが、過去、1世紀にわたって開発してきた、この高度に設計された材料には、酸化物、炭化物、ケイ酸塩、窒化物などの化合物や、透光性/透明セラミックス、セラミック膜などの特殊なセラミック材料が含まれます。

セラミックス材料は、用途に合わせて固有の要求を満たすように最適化することができます。ただし、ファインセラミックスを「先端素材のリーダー」と呼ぶのにふさわしいものにする特別な単独の特性はありません。それらを際立たせるのは、多様な用途と材料の組み合わせにおける複数の特性の組み合わせです。

また、重要なのは、基本的な材料特性だけではなく、製造可能かどうかも重要な鍵となります。特定の用途のニーズを満たすためのセラミックスの成形、焼成、仕上げの工法は数多くあります。セラミックス製造技術は進歩しており、非常に厳しい公差を持つ微細成形部品から計測機器用の超大型部品まで、様々なソリューションを実現できるようになっています。

誰もが知らないうちに日常的にファインセラミックスと関わっています。これらの高性能材料は、文字通り現代の多くの利便性を実現するための重要な要素になっています。先進的なセラミック材料は、自動車部品、歯科用ドリル、戦場で兵士を守るアーマー(装甲板)などに使われています。

クアーズテックが目指す先進セラミック材料

1世紀以上にわたり、クアーズテックは、先進セラミック材料開発の最前線に立ってきました。現在、クアーズテックは、米国・欧州・アジアに30ヶ所を超える拠点を有する多国籍企業へと成長しました。400種類を超える先進セラミック材料を配合し、比類のないセラミックスの専門知識、革新的な製品の研究開発に対する貢献とコミットメントを通して、顧客とパートナーシップを構築し、その素晴らしさをもっと実感できる世界の実現を目指してきました。

以下にファインセラミックスが機械的、熱的、化学的、電気的特性において、どの様に金属や樹脂を凌ぐ性能を発揮するかを説明します。

  • クアーズテックの特徴

>400

クアーズテックとして取り扱っている、ファインセラミックスの配合数は、少なくとも400種類以上あります

61/118元素

少なくともクアーズテックでは、地球上に存在する、既知の元素の半分以上の元素を利用し、製品にしています。

30+

クアーズテックでは30ヶ所以上の製造拠点を世界中に有しています。

1910年以来、様々な業界リーダーはクアーズテックに対し、世界でも困難な技術、ならびに製造における課題の解決策を求めてきました。クアーズテックではセラミック材料技術の専門知識、幅広い研究開発能力、オペレーショナルエクセレンス、信頼できる協力関係を構築するコミットメントを通して、これらの課題に対処してきました。

クアーズテックは、特に誠実さという基礎の上に成功を構築してきました。今後も、重要な機能の用途に対応する先進セラミック材料と、プロセスの開発に引き続き、多くの資源を継続的に投資していく計画です。高度な技能を持つ従業員は、優れた品質の製品やサービスを確実に、一貫して提供できるようにするため、常に努力を重ねています。

  • 物理的特性

セラミックスの代表的な特徴を知る

高温耐久性

多くの用途では、高温で信頼できる高性能特性が要求されます。1000℃では、ほとんどの金属が、自重すら支えることができず、高温酸化反応により、恒久的に脆弱化してしまいます。一方、先進セラミック材料は、室温での強度、剛性、耐環境性の大部分を保持することができ、周囲温度に戻すと、基本的に元の特性と寸法に戻ります。ファインセラミックスの熱的特性の詳細については、別の項でより詳しく説明します。

水分吸収とガス透過性

ファインセラミックスは、一般に測定可能な吸水性やガス透過性のない、密閉性のある性能を提供します。現在では流体の精密濾過や限外濾過、プロトン伝導性セラミック材料による電気化学的変換、人工骨、3D組織培養増殖などのソリューションを可能にする、制御されたレベルの気孔率または透過性を提供するアプリケーション固有の材料を設計することも可能になっています。

色調

クアーズテックでは、選択されるファインセラミックスの素材の種類に応じて、さまざまな色で提供することを可能としており、その用途に最適な色に設計することも可能としました。

結晶粒径

結晶粒径は、性能の決め手となる直接的な尺度ではありませんが、材料特性は結晶粒径によって異なることがあります。一般に、セラミック材料の微細構造の結晶粒径が小さくなるにつれて、強度が増加します。さらに、より細かい結晶粒径により、より細かい表面仕上げが可能になる場合があるため、トライボロジーまたは光学的な用途における性能が向上します。クアーズテックでも、原材料と製造工程の両方を設計することで、結晶粒径とそれにより得られる結果としての特性を制御することが可能です。多くの場合、期待される硬度と相関させるために、同じ材料であっても結晶粒径を区別して指定します。

  • 結晶粒径の範囲

    結晶粒径の範囲(単位:μm)

このグラフは、各材料について結晶粒径の範囲を表しています。

  • 結晶粒径を示す走査型電子顕微鏡(SEM)の写真

    結晶粒径を示す走査型電子顕微鏡(SEM)の写真