• 熱的特性

熱的特性

ファインセラミックスは、極端な温度で使用される用途において、金属や樹脂よりも優れた性能を発揮します。極度の高温または低温条件の用途には、膨張、収縮、溶融、亀裂などによって損傷することなく、性能を発揮できる材料が必要です。セラミックスは、高温強度、熱的安定性、耐熱性が操業や安全上の鍵となる幅広い用途に対応しています。

熱的特性は、材料がさまざまな温度範囲でどのように機能し、温度の変化に対してどのように反応するかといった特徴を示すものです。クアーズテックのファインセラミックスの多くは、材料特性と構造を制御することにより、高温および低温における精密用途においても最適な熱的特性を持っています。ファインセラミックスの多くは、動作温度範囲、熱伝導率、熱膨張係数、耐熱衝撃性が重要な各種用途の熱的特性の要求に適合するように調整することが可能です。

  • 最高使用温度

    最高使用温度(単位:℃)

先進セラミック材料の主な利点の1つは、極端な温度においても特性を維持できることです。多くの先進セラミック材料は、高度に設計された樹脂や金属をはるかに超える温度に耐えることができ、最大2400℃まで安定した性能を発揮します。これに対して、最高仕様の耐熱樹脂の最大動作温度は約250℃、一部の金属合金では、最大1000℃です。他の機械的、電気的、化学的特性と組み合わせることで、セラミックスは高温/低温での使用が必要不可欠な用途における、理想的な選択肢となります。

  • HID発光管の断面および全体

    HID発光管の断面および全体

  • 熱伝導率

    熱伝導率(単位:W/m・K)

熱伝導率は、材料内部で熱がどれだけ良く拡散するかを示す特性値です。調理鍋は熱伝導率が高く、熱が均一に分散されて、食品に素早く伝わります。一方で、断熱手袋は、熱伝導率が低いため、熱いものを扱う場合に、手に熱が伝わらないようにするために使用されます。ファインセラミックスは多様性があり、広範囲の熱伝導率を示します。

  • 熱膨張係数

    熱膨張係数(単位:1×10-6/℃)

熱膨張係数は、温度によって、材料が、どの程度膨張または収縮するかを示す特性値です。ほとんどの材料は、熱を加えると膨張しますが、これは、エネルギーによって原子がより速く移動するようになり、その結合が引き伸ばされるからです。セラミックスの場合、一般的に、原子間結合が強いため、熱膨張係数は小さく、広い温度範囲にわたって安定しています。

  • セラミックヒートシンクおよび電気絶縁体

    セラミックヒートシンクおよび電気絶縁体

  • 比熱(単位:J/kg・K)

    比熱(単位:J/kg・K)

比熱は、材料の温度を上げるのに必要な熱量を示す特性値です。ファインセラミックスは、種類によって幅広い比熱を持ちますが、一般に、金属よりも比熱が高いため、温度の制御が重要な用途に役立ちます。

  • 研究室用燃焼ボート

    研究室用燃焼ボート

  • 様々なHID発光管のセット

    様々なHID発光管のセット

  • 耐熱衝撃性ΔT

    耐熱衝撃性ΔT(単位:℃)

耐熱衝撃性は、急激な温度変化に耐える能力を示す特性値です。製品を急速に冷却すると、中心部は高温のままで、表面の温度が低下するため、不均一な熱収縮を生じます。耐熱衝撃性が低い材料は、温度変化によって亀裂が発生しやすくなります。

CoorsTek GLASSUNなどの耐火材料は、低い熱膨張係数と組み合わせた、耐歪み性の微細構造を備えているため、優れた熱衝撃特性を備えています。

構造用のセラミックスでは、材料強度と熱応力を分散する能力を組み合わせた、優れた熱衝撃特性も示す場合があります。熱伝導率がより高く、熱膨張がより低く、そして、弾性率がより低い場合、熱応力が低くなります。