Snowflakeは9月8日、プライベートイベント「DATA CLOUD WORLD TOUR」を開催した。基調講演には、初めて来日した米Snowflake CEOのFrank Slootman氏が登壇した。同氏は、「われわれのビジネスの基盤について話す」と述べ、講演を始めた。

  • 米Snowflake CEO Frank Slootman氏

Slootman氏は、「われわれは、データのサイロの解消を目指している。企業はTableauやSalesforceなど、データを活用するさまざまなサービスを使っており、データの分断化が起きている。われわれはデータを取り巻く壁をはがすことができる」と語った。

そのために、Snowflakeはすべてのデータをカバーすることを目指している。「Snowflakeは半構造化データから始まり、構造化データに移った。そして昨年、非構造化データに対応した」とSlootman氏。

非構造化データの活用を助ける機能として、Snowflakeは今年6月、「Document AI」を発表した。「Document AI」はマルチモデルLLMを活用して、非構造化データから構造化データを推論し、アナリティクスで使えるようにするものだという。

続いて、Slootman氏はSnowflakeで扱うワークロードについて説明した。「Snowflakeではすべてのワークロードを処理できる。ここに多く投資してきた」と同氏。

「われわれはトランザクションプロセスまで手を広げた。これにより、Snowflakeによりプロセシングとトランザクションをつなぐことが可能になった。さらに、アプリケーションも使えるようになった」として、Slootman氏は「データについて行いたいことはすべてSnowflakeでできる」と語った。

さらに、Slootman氏は同社のミッションが「NO LIMITS」であると続けた。同氏がいう「NO LIMITS」とは、データ、ユーザー、ワークロードの観点から制限や制約を解除することを意味する。

Slootman氏は、データの制限を取り払う機能として、外部テーブルにおけるApache Icebergのサポートを挙げた。Icebergは、Netflixが開発し、Apache Software Foundationに無償提供されたオープンソースのテーブル形式。

「Snowflakeで、Icebergのリードライトをサポートできるようになった。これにより、他のツールを使う際に、データオブジェクトを使えるようになる。IcebergはGoldman SachsやAppleで重視されており、データユニバースを広げるもの」と、Slootman氏は説明した。

加えて、Slootman氏は、アプリケーションに関する拡張について説明した。今年6月、Snowflake Summit 2023において、Snowflakeネイティブアプリケーションフレームワークの提供開始(AWS上でのパブリックプレビュー)が発表された。

このフレームワークを用いて、Snowflakeネイティブアプリケーションを迅速に作り、運用を容易にするためのビルディングブロックを提供する。あわせて、収益化のための課金システムも含まれている。Slootman氏は、「ファンクションをパッケージ化することで、コンシューマーに使ってもらえると思っている」と話していた。

さらなる制限を排除するための機能として、Snowparkコンテナサービスが紹介された。同サービスにより、Snowflakeプラットフォーム内で、AIや機械学習(ML)モデル、API、社内開発アプリケーションなどのワークロードを実行できるようになる。

Slootman氏は、「Snowparkコンテナサービスによって、アプリケーションをすべてコンテナ化した。これにより、どんな制約も排除できるようになった。コンテナストラテジーを持っていれば、素早く切り替えることができる。Snowparkコンテナサービスは、プレビューに入っている LLMを使ってユーザーがテストしている」と説明した。

データクラウドから始まったSnowflakeだが、データを核とした同社のビジネスは拡大の一途をたどっており、企業のデータ活用をさらに後押ししていくことが予想される。