生成AIの業務活用が広がるなか、社内に蓄積されたデータを分析し、意思決定や業務改善に活かす「データサイエンス」への関心が高まっている。データ活用はもはやIT部門や専門人材だけが担うものではなく、経営層から現場部門まで、あらゆる立場の人に求められるテーマとなりつつある。
一方で、データが部門やシステムごとに分散している、分析を担う人材やノウハウが不足しているといった課題から、取り組みを前に進められない企業も少なくない。
本稿では、AIとクラウドを軸に企業のDX推進をワンストップで支援する株式会社システムサポート(以下、システムサポート)の山口 正寛 氏に話を聞き、データドリブンな組織づくりにおけるデータ分析基盤の重要性と、日本マイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)が提供する統合データ分析プラットフォーム「Microsoft Fabric」の有用性をひも解く。
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株式会社システムサポート 執行役員 / Future Innovation事業本部 ソリューションサービス事業部 事業部長 山口 正寛 氏
生成AIを活かす鍵は、誰もがデータを使える分析基盤にある
生成AIの企業活用が進むなか、AIエージェントや社内データを活用した業務プロセス支援への関心が高まっている。しかし、生成AIやBIツールを導入するだけで、データ活用が自然に進むわけではない。データが部門やシステムごとに分散し、分析に使える状態で整備されていなければ、AIの効果を十分に引き出すことは難しい。
システムサポートで執行役員を務めるFuture Innovation事業本部 ソリューションサービス事業部 事業部長の山口 正寛 氏は、AIを含めたデータ活用を進めるうえで、データ分析基盤の構築が重要になると説明する。
「生成AIの活用をはじめ、社内データを効果的に活用するには、土台となるデータ分析基盤が不可欠です。当社はクラウドとデータ・AIを重点領域と位置付け、Microsoft Azureをはじめとするパブリッククラウドを中心に、システムやデータ分析基盤の構築から生成AIの導入支援まで、企業のDX推進を幅広く支援しています。」(山口氏)
こうした取り組みと実績が評価され、同社は2026年4月にはマイクロソフトの上位パートナー認定である「Microsoft Azureを使用した分析」Specializationを取得した。前年の「Microsoft AzureでのAIプラットフォーム」Specializationの取得とあわせて、データ分析基盤と生成AIの両分野において顧客を支援する体制を整えている。
事業責任者として数多くの企業のDX推進に携わってきた山口氏は、技術の進化により、データサイエンスに取り組むハードルは大きく下がっていると見る。
「2012年に、グローバル・マネジメント誌であるHarvard Business Reviewに掲載された記事では、『データサイエンティストは21世紀でもっともセクシーな職業』と紹介されていました。当時は、大量のデータを扱うには高額なインフラ投資が必要で、専門的な知識とスキルを備えたデータサイエンティストも限られていたため、データサイエンスは一部の先進企業の取り組みだったと言えます。しかし現在は、クラウドの普及に加え、生成AIやAutoML(自動機械学習)、BIツールなども利用しやすくなり、データサイエンスに取り組みやすい環境が整ってきたと感じています。」(山口氏)
一方で、ツールやサービスを導入するだけで、すぐに効果的なデータ活用を実現できるわけではない。
山口氏は、データサイエンス人材の不足により、分析のテーマ設定からデータ整備、分析結果の評価・活用といった一連のプロセスに課題を抱えている企業は少なくないと述べる。さらに、散在するデータを集約・活用する分析基盤は複数のコンポーネントで構成されるため、運用負荷やコスト管理の複雑化も課題になりやすい。
「小売業・製造業・金融業をはじめ、需要予測や売上予測、顧客分析などにデータを活用したいというニーズは高まっている一方で、必要な人材やノウハウが不足していて着手できない企業は多いと感じています。重要なのは、“データから継続的に価値を生み出すこと”であり、その実現には、運用負荷を軽減し、誰もがデータサイエンスに取り組めるデータ分析基盤が必要になると考えています」(山口氏)
こうした課題を解決するソリューションとして注目されているのが、マイクロソフトの統合データ分析プラットフォーム「Microsoft Fabric」だ。
データを統合管理し、データの民主化を実現する「Microsoft Fabric」
Microsoft Fabricは、データレイク、データウェアハウス、ETL(データの抽出・加工・格納を行う処理)、BIなど、分析基盤に必要な機能をクラウドサービスとして提供する統合データ分析プラットフォームである。中核となるデータレイクストレージ「OneLake」により、部門やシステムごとに分散したデータを一元的に管理し、横断的に活用できる環境を整える。
さらに、Copilot in FabricやAzure OpenAI ServiceなどのAIサービスとも連携し、データの収集・加工から分析、可視化、生成AI活用までを単一基盤で支援する。
山口氏は、Microsoft Fabricの導入により得られる最大の価値は、“データの民主化”にあると語る。
「Microsoft Fabricを導入することで、これまで専門知識を持つデータサイエンティストしか扱えなかったような分析を、企業の経営層や現場担当者も行いやすくなります。基幹システムから個人のPC内に保存されているデータまで、分析に必要なデータをOneLake上で一元管理することで、データ収集・加工にかかっていた工数を大幅に削減できます。Azureはもちろん、さまざまなハイパースケーラーのクラウドサービスと接続できるコネクタを備えており、既存環境に合わせた柔軟なデータ分析基盤を構築できる点も大きなメリットです」(山口氏)
システムサポートでは、Microsoft Fabricの導入検討からデータ分析基盤の構築・運用、集約したデータから価値を生み出すプロセスづくりまでをワンストップで支援する。
また、機密データを扱ううえで重要となるセキュリティやガバナンス領域についても、マイクロソフト製品の導入・運用支援で培った実績を活かし、企業の状況に応じた支援を展開している。散在するデータを包括的に保護・管理する「Microsoft Purview」を活用し、ガバナンスやコンプライアンス強化も後押しする。
加えて、データドリブン経営への移行を支援する「データサイエンス支援メニュー」も用意している。分析入門講座、分析中級講座、分析伴走支援、分析支援(代行)の4つのメニューを通じて、企業の体制や成熟度に応じた支援を提供する。
「単に分析結果を提供するのではなく、継続的にデータを活用できる組織づくりまでを見据えて支援しています。お客様の体制や成熟度に合わせて、段階的な分析業務の内製化から代行まで、さまざまなニーズに対応できます。生成AI活用についても、Azure OpenAI Serviceの導入を国内70社以上で支援してきた実績を活かし、企業の課題に応じた伴走型支援を提供しています」(山口氏)
導入企業で広がるデータ活用の実践
すでにMicrosoft Fabricの導入支援サービスやデータサイエンス支援メニューを採用した企業からは、導入効果を実感する声が寄せられている。
小売業における事例として、次のような取り組みがある。
「複数店舗を展開する小売業のお客様では、POSデータ、発注データ、商品マスターなどが複数のシステムに分散し、分析に必要なデータ収集に時間がかかっていました。そこで、Microsoft Fabricでデータを一元管理する基盤を構築。各店舗の店長が、発注や店内レイアウトの設計、人員配置などの判断にデータや生成AIを活用できるようになり、店舗運営における意思決定の高度化を後押ししています」(山口氏)
また、データを活用した需要予測に取り組みたいという明確なテーマがありながら、具体的なプロセスが見えず、プロジェクトが停滞していた企業の事例もある。
「具体的なプロセスが分からず課題を抱えていたお客様に対しては、当社のデータサイエンス支援メニューを通じて、分析テーマの整理からデータの整備、機械学習モデルの作成、予測精度の評価までを伴走型で支援しました。単に需要予測モデルを作るのではなく、お客様自身が分析プロセスを理解し、継続的に改善できる体制づくりを目指したことで、組織内に分析ノウハウが蓄積され、データ活用を自走できる状態に近づくことができたと思います」(山口氏)
基盤構築から活用定着まで、データドリブンな組織づくりを支援
クラウド、データ、AIの知見と、マイクロソフト製品の導入実績を強みとするシステムサポートは、今後もMicrosoft Fabricを中核としたデータ分析基盤の構築・運用に加え、データの民主化やデータ分析の内製化を支援していく方針だ。
山口氏は、データおよびAIの利活用に課題を抱える企業に向けて、次のようなメッセージを送る。
「生成AIを業務に活かすには、AIツールやサービスの導入だけでなく、企業内のデータを分析・活用しやすい形に整えることが重要です。さらに、そのデータから継続的に価値を生み出す仕組みをつくることで、初めてAI活用の効果を高められます。Microsoft Fabricは、その実現を強力に後押しするプラットフォームだと考えています。」(山口氏)
また山口氏は、基盤の整備と並行して、人材育成や分析テーマの整理、分析プロセスの定着といったデータサイエンスの取り組みも進めていく必要があると強調する。
「当社では、Microsoft Fabricの導入からデータサイエンス支援、生成AI活用までを一貫して支援し、データを資産として活用できる組織づくりまで伴走していきたいと考えています。データ活用に取り組みたいが何から始めればよいかわからない、生成AIを業務に活かしたいといった課題をお持ちのお客様は、ぜひお気軽にご相談ください」(山口氏)
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