台湾台中市の都市計画委員会が進めていた、中部科学園区(中科)台中園区にあるTSMC工場の第2期拡張工事計画の審査が完了したという。
対象となっている拡張予定エリアは台中園区西側のゴルフ場とその周辺の土地とされており、拡張計画が市内の水と電力の供給に影響を与えないことが最終的に確認されたことで、台中市都市計画委員会が審査を通過させたという。これにより今後、台湾政府内政部(内政省)首都委員会が最終審査を行うこととなり、TSMCが2024年6月末までに工場を建設のために必要な土地を取得するめどが立ったという。
台中の新ファブは1nmプロセスに対応する可能性も?
台湾の経済メディアである經濟日報によると、この工場拡張計画における環境審査に時間がかかった結果、TSMCは22nmプロセス用に建設を進めていた台湾南部の高雄のファブを2nmプロセス用に計画を変更。同社はすでに高雄に加え、新竹・宝山でも2nmプロセス対応ファブの建設を進めていることから、台中の工場拡張予定地には2nmプロセスではなく、その先となる1nmプロセス対応ファブが建設される可能性がでてきたと一部の台湾半導体関係者が指摘しているという。
TSMCの製造装置サプライチェーン関係者の情報によれば、中部科学園区のTSMC工場からは、2nmプロセス用製造装置を購入する話がまだ来ていないという。また、TSMCの魏哲佳社長は2023年7月の決算説明会において、2nmプロセスは予定通り2025年に量産されると述べたが、関係者によると、新竹・宝山、高雄の2nmプロセス工場は将来的にはファブを10棟まで拡張する計画であり、これらのファブの一部は2nmプロセスから派生し、同じ製造装置が使える1.4nmプロセスまで拡張される可能性があるという。そのため、こうした計画を踏まえて、台中工場の拡張ファブが1nmプロセスに対応するのではないかという見方もあるという。TSMCにとっての最優先事項は台湾内での土地の取得であり、台中市に提出した書類には2nmファブ建設計画と記されていたようであるが、高雄の例もあるように、世界の潮流を踏まえつつ計画を変更する可能性はあっても不思議ではないだろう。