東京商工リサーチは8月25日、2023年3月期決算上場企業を対象にした「正規労働者の男女賃金差異」の状況調査の結果を発表した。同調査は、東証など全証券取引所に株式上場する企業のうち、2023年3月期決算(7月31日までに有価証券報告書を提出)を対象に、有価証券報告書の「労働者の男女の賃金の差異」「管理職に占める女性労働者の割合」を集計したもの。
2023年3月期決算の2,456社のうち、有報に「正規雇用の男女賃金差異」を記載した1,677社の平均は71.7%で、女性の賃金は男性より約3割低いことが明らかになった(数値が100.0%に近いほど賃金差は小さい)。
男女の賃金差異は、最多が「70.0%以上75.0%未満」(構成比23.5%)だったが、金融・保険業(63.6%)、建設業(65.3%)、水産・林業・鉱業(65.5%)は約4割の差があったという。
記載した上場企業は、入社年次や職位・業務が同じ場合、男女の賃金差はないとしているとのことだ。
賃金差異の最大は、ファナックの39.7%となった。有価証券報告書によると、「女性の正規雇用労働者に占める工場契約社員(無期転換社員)の割合が6割程度と大きいことが主な要因。(中略)現在在籍している女性の経験年数が比較的短く、女性の幹部社員比率が小さいことも差異の要因」とのことだ。
第2位は、45.3%の日本航空。有価証券報告書によると、「正社員の男女の賃金差異は、職種別に異なり、それぞれ勤続年数の影響を受けていることが考えられる」という。
一方、女性の賃金が男性を上回ったのは6社あった。トップはITサービスのJBCCホールディングスの118.2%で、女性の賃金が男性を1割上回る。