TSMCが同社のCoWoSパッケージングの生産能力増強に向け、台湾北部の新竹科学園区(竹科)銅鑼園区に約7haの土地を取得することで関係機関と合意したと台湾メディアが7月25日付けで報じている。
TSMCの魏哲佳(C.C.Wei)CEO兼社長は7月20日の決算会見にて、AIの需要増を背景にTSMCにおけるAI半導体の売上高は今後5年間で年率50%近くの成長率で成長していくとの予想を述べた際、それに伴いCoWoSパッケージング生産能力が不足し、OSATへの委託が増加してきており、その対応を進めていることを示唆していた。
今回の土地取得は、台湾政府の各省庁との間で横断的な交渉を約2か月ほど行い合意に至ったとされており、TSMCは新竹科学園区に900億NTドル(約4000億円)を投じてCoWoSパッケージングおよびテスト工場を建設する予定だという。新工場は2026年末までに完成し、2027年第3四半期より量産が開始される予定であるという。
銅鑼園区では、すでにPowerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)が将来の半導体工場建設に向けた広大な土地を確保していたが、台湾政府がPSMCの黄崇仁会長に働きかけ、工場建設計画がまだ始まっていない土地をTSMCに譲渡することが決まったという。
新工場はTSMCにとって6番目の先進パッケージング工場となり、SoICやInFO、CoWoSといった技術に注力する計画で、生産能力は月産11万枚(300mmウェハ)、消費電力は6万kWh/日、水は0.6万トン/日の使用が予定している。TSMCでは、この新工場の稼働に伴い、約1500人の雇用創出機会がもたらされるとしているが、同社の工場建設部隊は現在、米国アリゾナ工場の立ち上げに注力しており、台湾で土地を取得しても、すぐに工場の建設に移るのは難しいものと同科学園区の管理局は見ている模様である。そのためTSMCでは、2023年第4四半期に用地の整地を開始、2024年下半期に新工場の建設を開始、2026年に工場建設を完了するとの見通しをだしているようで、結果として量産開始は早くて2027年上半期、遅くとも第3四半期からとなる見込みだという。