author=森歩美

LIXILは4月27日、PwCコンサルティングが提供するAI・機械学習アルゴリズムを用いた需要予測ソリューション「Multidimensional Demand Forecasting(MDF)」を導入し、サッシ・ドアやエクステリアなどの建材事業を展開するLIXIL Housing Technologyの約120万機種に及ぶ製品を対象とし、AI需要予測の試験運用を開始したと発表した。

LIXILは、急激な事業環境の変化に柔軟かつ機動的に対応すべく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速しており、デジタル化により、顧客志向の組織へと転換するとともに、生産体制とサプライチェーンの最適化を図っている。

資材調達リスク、コンテナ不足など世界的なサプライチェーンにおける問題が発生し事業環境が大きく変化する中、多岐にわたる製品コードを人の手を使って需要予測をすることは困難だという。

そこで、これから先に起きるイシューを予見し、迅速な対応が可能な体制を構築していくため、調達から製造、販売までの各プロセスにおける状況を把握し、在庫管理や業務運営の効率化などサプライチェーン全体の最適化に向けた取り組みの一つとして、AI需要予測ソリューションを導入し、プロジェクトを始動したという。

2022年9月より、ハウジングテクノロジー事業の約半数を占める既存品の予測値を先行展開。2023年1より、これまで予測できなかったモデルチェンジ品についても対応し、LIXIL Housing Technologyのほぼ全ての製品をカバーする予測値の算出が可能となったという。

具体的には、AI需要予測を活用することで、230万の予測対象一つ一つの特徴を捉えた高解像度かつ高精度な予測算出が実現された。加えて、膨大な予測データを提供する環境構築に、さまざまなデータを一元管理するクラウド型のデータ統合基盤「LIXIL Data Platform」を採用することで、各工場でデータ活用の自走化を促すためのデジタルスキル支援も並行して進め、多くの工場で潜在リスク低減に向けた実用化レベルの取り組みが加速しているという。今後は、製品だけでなく副資材等も含め、需要予測の対象領域をさらに拡大していく予定。