LocoMosesがもたらす削減コストの大きさは?
LocoMosesがもたらす主なメリットとして、OKIの小林肇執行役員は、配送コストを最小化した計画の作成・"分割配送"を活用した効率的な配送・熟練者が考慮する観点の取り入れの3点を挙げる。
配送コストの削減については、燃料費や高速道路の利用料金などといったさまざまな要因を考慮したうえで、ルート設定を行う。また、CO2排出量の削減についても考慮できるとしており、近年要求が高まるサプライチェーン全体でのCO2排出量削減にも貢献できるとする。
車両台数15台、配送店舗数約50か所という規模で行われたロンコ・ジャパンとの実証実験においても、LocoMosesの効果が確認されているとのことで、熟練者による配送計画に比べ、1日あたりの削減総走行距離は約340km、年間で削減されるコストは約700万円にも上ると試算されているとする。
こうしたコスト削減の手段として、分割配送への対応があるという。分割配送とは、1つの店舗に対して複数車両で配送を行う手法のことで、従来の物流現場ではその計画の複雑さなどから、あまり採用されていない。しかし、LocoMosesではAIを活用することから、スムーズに分割配送を検討することが可能で、場合によっては配送車両台数の削減にもつながるという。
配送現場の課題としては「配送効率の悪化」も挙げられており、配送可能量のうち約40%が使用されないまま配送を行っている場合もあったとのことだ。これらの今まで活用できていなかった部分を分割配送などで活用することで、配送効率を向上させることができるとする。
さらに、熟練者が考慮する観点をシステムに反映できる点もLocoMosesの利点だという。熟練者だからこその知見としては、気象条件などによる渋滞ルートの除外や、高速道路と一般道の使い分けなどがある。人間が判断を行うことで最適化されていた条件も、システムに導入することで自動化することができるのである。
SaaSとしての提供で2027年までに2億円の販売を目指す
OKIは、LocoMosesの販売計画として、2027年度までに2億円という目標を掲げている。また、SaaSとしての提供となり、提供価格は個別での見積もりで決定されるとしている。
また、現時点では主な適用先として店舗配送を掲げているものの、「部分最適化から全体最適化を目指す」という姿勢のもと、幹線輸送といった物流現場の上流に対しても、新たなソリューションの提供ができないか、その可能性を探っていくとする。
従来より幹線輸送に強みを持つロンコ・ジャパンの福西靖之代表取締役社長は、OKIの熱意ある姿勢によって今回のサービス実現に至ったとしており、「今後もOKIとの協力を続け、物流業界に光を差すことができるサービスにしていきたい」と語った。