大手半導体製造装置メーカーであるApplied Materials(AMAT)が2023年度第1四半期(2022年11月~2023年1月)の決算概要を発表した。
それによると連結売上高は前年同期比7%増の67億3900万ドル、営業利益は19億7000万ドルとなった。また、半導体システムセグメントの業績は、売上高が同13%増の51億6200万ドルで、内訳としては、ファウンドリ・ロジック向けが77%、DRAMが13%、フラッシュメモリが10%となっており、ファウンドリが好況な一方、メモリが苦戦している状況が示された結果となった。また、FPD製造装置(ディスプレイ・アジェイセントマーケット)セグメントの売り上げについては、同54%減の1億6700万ドルと大幅な減収となった。
同社では2023年度第2四半期(2-4月)の売上高については、64億ドル±4億ドルと予測しており、市場関係者の予測よりやや高い数字となっている。
2023年度はICAPS向け半導体の成長に期待
また、同日開催のテレコンファレンスにて同氏は、「2023年の経済ならびに半導体業界は試練に直面しているが、AMATは第1四半期に堅調な業績を上げ、ガイダンス範囲の上限に近い結果を達成できた。また、受注残高も9四半期連続で増加した。ただし、今後は、半導体の市場が低迷することもあり、受注残が減少し始めると予想している」と述べている。
また、その半導体市場に関する展望について同氏は、「マクロ経済が混沌とする環境で、顧客はさまざまな需要の目まぐるしい変化に直⾯している。 PCやスマートフォン(スマホ)などの消費者主導の市場は明らかに弱体化しているが、ICAPS(IoT、Communications、Auto、Power、Sensor)市場は好調に推移しているため、2023年はメモリ向け売り上げが大きく落ち込み、ファウンドリ・ロジック向け売り上げもやや落ち込むことが予想される中で、ICAPS向けが成長を遂げると思われるので、この分野に特に注力する」と述べた。
得意の次世代配線抵抗改善用PVD装置で勝負
ウェハ製造装置への投資に関しては、「顧客が在庫を再調整し、NANDとDRAMの両方で設備投資を延期するため、2023年はメモリ事業への投資が減少する年になる。DRAMがNANDに先んじて回復し、年後半より回復し始める可能性があると予想している。最先端のファウンドリ・ロジックへの投資は、前年比でわずかに減少すると見ている。短期的な需要の逆風により、顧客は設備投資を削減しているが、次世代テクノロジーのリーダーシップをめぐる戦いに勝つために、最先端ノードへの戦略的投資に引き続き力を注いでいる」と述べたほか、「記録的な受注残のかなりの割合が、重要な次世代配線抵抗の改善を可能とする独自の金属成膜などのAMATが得意とする差別化製品で構成されており、2023年に市場を凌駕する好位置につけていると確信している」とも述べている。
なお、半導体の長期見通しについては、「半導体は、デジタル経済の基盤をなす必要不可欠なモノであり、2030年までにその市場は1兆ドルに拡大するのは間違いない」と従来通りの見通しを述べている。