Celonis(セロニス)は12月21日、11月9日、10日にドイツのミュンヘンで開催した顧客・パートナー向けのユーザーカンファレンス「Celosphere(セロスフィア)」で発表した、プロセスマイニングの新製品「Celonis Process Sphere」および「Celonis Business Miner」について説明を行った。両製品ともに現在はベータ版の状態で、提供は来年になるという。
プロセスマイニングは、現行の情報システムから容易に活用できるイベントログを基に知識を抽出することで、実際のプロセス発掘し、モニタリングし、改善するための分析手法。プロセスとは、定義または認識された「開始」から「終了」までの業務処理が進行する中で繰り返される一連のアクションやステップのこと(CelonisのWebより)。業務プロセスの無駄を明らかにし、改善につなげるためのソリューションだ。
今回の新製品の発表は、業務実行に関する密接に結びついた2つの戦略が軸になっており、1つ目の戦略は、すべてのビジネスユーザーに新たなビジネスプロセスの奥深さと可能性を理解してもらうこと。2つ目は、ビジネス上のあらゆる場面にExecution Management(業務実行管理)を取り入れてもらうことだという。
Celonis 代表取締役社長 村瀬将思氏は、「今回の発表した製品により、プロセスマイニングの世界も新しい世代に入って来た。これまで、受注管理や購買など、業務ごとにプロセスを可視化してきたが、それとは違い、オブジェクトセントリックプロセスマイニングという学術論を、テクノロジーとして実現したものだ。プロセスを2次元で可視化していたものを、3次元にした」を述べた。
「プロセスを受注とか生産とか、購買などと個別に見るのではなく、オブジェクト概念で表現されるようになる。プロセスが交差した領域でインテリジェントを提供する。これまではこの部分は難しかった。なぜなら、アプリケーションごとのサイロになっていたからだ」(村瀬氏)
オブジェクトとは、注文や発注、出荷など、処理の分岐点になるような部分。これらは、生産システム、購買システム、販売システムなど、それぞれのシステムが交差する部分だが、これまでは各システムのデータを連結させて可視化させることが難しかったという。
また、各システムでは、分岐や結合があり複雑に枝分かれしており、それが可視化を難しくしていた部分もあったという。例えば、Amazonで3つの商品を注文した場合、それぞれの梱包や出荷日は異なるが請求書は1つで、各システムが1:1、1:n、n:nなどの関係になるため、可視化が難しかったという。
製品の納期が遅れた場合、生産が遅れたのか、生産のための部品の調達で遅れた、発送で遅れたのかがこれまではなかなかつかめなかったが、Celonis Process Sphereでは、オブジェクトをより細かくドリルダウンしていくことで、どの処理に原因があったのかわかるようになるという。
「各企業では、各部門ごとの個別最適はかなり行われたてきたが、部門間にまたがるプロセスは組織の壁があった。ここが改善のキーになる」(村瀬氏)
一方のCelonis Business Minerは、プロセスマイニングを専門家だけのもにするのではなく、そこまで精通していない現場の人でも、Q&A形式で直観的に進めていける、プロセスマイングの裾野を広げるための製品だという。
最後に村瀬氏は今年の実績に触れ、新規の契約額は昨年度比で5倍、経常収益は昨年度比で3倍、顧客数が昨年度比で2倍、社員数が昨年度比で3倍となり、業績が好調であることをアピールした。
「私のキャリアの中では一番伸びだ。市場はドル箱だ」(村瀬氏)
同氏は今年3月の国内事業戦略の中で、通信・IT、製造、金融業に注力する点、パートナーの強化、Connect(企業との接点)を挙げていたが、ConnectではCxOClub(エクゼククティブ向け情報交換会)、社内の導入リーダー向けのCelonis champion club、ユーザー会のCeloUGの3つのユーザー会を立ち上げげたことを明らかにした。
また、製造、金融業に注力していくことも継続していくとした。
そして、パートナー戦略としては、手を挙げたパートナーの社内で使ってもらい、有資格などのリソースを育てていく部分に今後注力するという。