フェローテックの子会社で、半導体結晶製造用部材である石英るつぼやシリコンパーツを製造・販売する寧夏盾源聚芯半導体科技(FTNC)は、上海証券取引所のハイテク・イノベーション関連企業に特化した市場「科創板(スター・マーケット)」での新規株式公開(IPO)を目指していたが、このたび上場申請先を「深セン証券取引所主板(メインボード)」に変更すると発表した。

業績好調で生産要員が増え研究要員比率増やせず

今回の変更についてフェローテックでは、科創板の上場要件の1つである「研究開発(R&D)人員の比率が全従業員の10%以上」をすぐに充足できないことを理由として挙げている。

この背景には、FTNCの事業が非常に好調であり、顧客の増産要求に応えるため生産人員を増加させているほか、今後も生産人員の増加が進む見通しであり、研究開発人員の比率が増やせないという事情があり、深セン主板の方が科創板よりも審査が厳しいが、FTNC は業績好調であり、深セン主板の上場の主要要件である「三年連続で黒字」やその他の諸要件を充足していることから、深セン主板への上場申請に変更することを決定したという。

上場アドバイザーについても、審査の厳しい深セン主板へ上場市場変更を行うにあたり当初の光大証券からより強固な投資銀行業務で定評のある東方証券に変更した。

FTNCは2011年4月に設立され、資本金は1億8714万元(約39億円)で、フェローテックの中国全額出資子会社が6割を出資している。

なお、フェローテックでは、同社の持分法適用関連会社である杭州中欣晶園半導体(CCMC)については、上海証券取引所科創板市場に上場申請書を提出し、2022年8月29日付で申請受理を確認したとも発表している。申請の受理の確認だけのため、まだ科創板による上場が承認されたわけでも上場が保証されたわけではない。CCMCは、2017年9月に設立されたシリコンウェハ製造・販売会社で、フェローテックの出資比率は約23%となっている。