中国最大のファウンドリであるSMIC(中芯國際集成電路製造)が、中国の天津市に75億ドル(約1兆円)を投じ、300mmウェハ対応のファウンドリファブを建設することが、8月27日に上海証券交易所(取引所)に提出し公示された書類で判明した。

公示された書類によると、登録資本金50億ドル、総投資額75億ドルの完全所有子会社を通じて、天津市西青開発区に独立法人を設立することで、天津市の経済開発区を運営する政府組織(天津西青経済開発グループおよび天津西青経済技術開発区管理委員会)と合意したという。

これらの政府組織は、土地提供、人材手配、インフラ整備の面でSMICに協力することになっている。新工場は月産10万枚の生産能力を持ち、28nm~180nmプロセスの生産を行う予定。製造品目としては、主に通信、自動車用電子機器、家電、産業などの分野向けとしているが、建設開始や生産開始の具体的な時期は明らかにされていない。

米国当局は、米国の半導体関連企業に対して10nmプロセス以下の先端半導体生産に必要な製造装置のSMICへの供給を事実上禁止しており、28nmまで禁止枠を広げる検討を進めていることから、SMICは米国との摩擦を避けて中国内で需要の多いレガシー製品の製造に徹するものと思われる。

なお、SMICは天津の300mm工場建設プロジェクトは、自社の開発計画に沿ったものであり、同社の長期的な発展に役立つと述べている。プロジェクトの資金は、会社の自己資金と自己調達した資金で賄うとしており、会社の財務状況と経営成績に大きな影響を与えることはなく、上場会社とすべての株主の利益を害することはないとしている。すでに同社は上海でも上海市政府などと共同で1兆円規模の投資による300mmファブの建設を進めており、こちらも28nmプロセス以前のレガシー製品の製造を行う予定としている。