マイクロコントローラ(マイコン)は組込機器の制御を中心にさまざまな場所で活用されている半導体であり、2020年の世界的な不況からのリバウンドで活況を呈した2021年は、サプライヤからの供給が追い付かないほど需要が増加したという。
IC Insightsによると、マイコン市場は、世界経済の低迷を受けた2019年に前年比7%減、2020年にも新型コロナの影響を受け、同2%減となったが、2021年は同27%増と大きく回復し、市場規模は過去最高の202億ドルを記録したとする一方、出荷個数は同13%増の312億個に留まった結果、供給ひっ迫が生じたとしている。また、この市場成長率は2000年以降で最高値であり、かつ平均販売価格(ASP)も12%上昇し、1990年代半ば以降でもっとも高い上昇率となったという。
IC Insightsの調査では、2021年におけるマイコンサプライヤ売り上げトップ5社の順位は2020年から変化していないという。内訳としては5社中3社が欧州勢(NXP、STMicroelectronics、Infineon Technologies)で、残りが日本勢(ルネサス エレクトロニクス)と米国勢(Microchip Technology)だが、ルネサスを含む上位4社の市場シェアは、17.8±1%に分布しており激戦状態にあるとする。
また、これらトップ5社が市場に占める割合は2016年には72.2%であったが、2021年には82.1%に増加したという。このシェア増加の背景は、2016年以降の大規模な買収と合併によるところが大きいという。トップ10で見た場合、6位がTexas Instruments、7位がNuvoton、8位がローム、9位がSamsung Electronics、10位が東芝で、これら5社の2021年のマイコン売上高合計は23億ドルで、市場の11.4%を占めるとIC Insightsでは説明しているほか、トップ11位以下のサプライヤの売上高合計額の割合は6.5%にすぎないともしている。
なお、3位のルネサスは2010年代前半までは世界最大のマイコンサプライヤであった。しかし、NXPが2015年末にFreescale Semiconductorを買収したことで事業規模を拡大させたことから、2016年にトップの座を明け渡すこととなった。また、5位のInfineonは、2020年4月にCypress Semiconductorを買収し、マイコン事業の規模を拡大。トップ5に入ってきた。このほか、台湾国内では、パナソニックの北陸3工場(砺波、魚津、新井)を含めた半導体事業を丸ごと買収したNuvotonがトップ10に入ってきたことが注目されているという。