IDC Japanは5月31日、サーバとエンタープライズストレージシステムなどを合算した国内エンタープライズインフラ市場の予測を発表した。同社は、2022年の同市場は前年比4.4%増の6758億2700万円と予測する。また、2026年の同市場における市場規模(支出額)は6787億4500万円になると予想する。
一方、市場の成長率については、2022年はプラス成長に復帰するものの、2023年以降の前年比成長率はプラスマイナス0.5%の範囲で推移すると同社は見ており、2021年~2026年の5年間における年間平均成長率(CAGR)は1.0%と見込む。
製品分類別には、OEM(Original Equipment Manufacturing)が提供する製品のうちサーバ(OEM Server)については、前年比成長率1.7%の4390億100万円、ストレージシステム(OEM Storage)については同4.8%の1463億2200万円、ODMが顧客ごとに設計/製造して直接提供する製品(ODM Direct)については同19.1%の905億400万円と予測する。
OEM ServerおよびOEM Storageは2021年に2桁のマイナス成長であったことを考慮すると、2022年における1桁台の成長は力強さに欠ける。背景にはクラウドシフトがある。2026年においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大やロシア・ウクライナ戦争の影響を受ける前の2019年の市場規模までは回復しない見込みだ。
その一方で、主にグローバルクラウドサービスプロバイダーが採用しているODM Directは、2019年にマイナス成長だったが、2020年、2021年に続いて2022年も2桁の高成長を維持すると同社では見ている。
配備モデル別に見ると、2022年のNon-Cloud向けが前年比成長率3.8%の4378億5100万円、Private Cloud向けが同13.7%の678億9700万円、Public Cloud向けが同2.8%の1700億7800万円と予測する。
COVID-19感染拡大やロシア・ウクライナ戦争の影響を受ける前に当たる2019年の市場規模との比較では、Private Cloud向けが2022年にはほぼ同等の規模に回復する一方で、Non-Cloud向けは2019年の市場規模から2022年~2026年の予測期間を通じて縮小傾向を示すと見ている。逆にPublic Cloud向けは拡大傾向を示しているという。
バイヤータイプ別に見ると、2022年のサービスプロバイダー(クラウドインフラストラクチャ/ソフトウェア/デジタルサービスプロバイダー、マネージドサービスプロバイダー、通信事業含む)向けが前年比成長率6.5%の3107億4300万円、非サービスプロバイダー向けが前年比成長率2.7%の3650億8400万円と予測している。
前年の2021年は、COVID-19感染拡大などの影響による部材の需給逼迫によって年末の受注残が例年よりも積み上がり、その出荷が2022年にずれ込んだものが少なからず出てくるほか、2022年後半にはおおむね需給逼迫が解消に向かい、2022年は両バイヤータイプでプラス成長になると同社は見ている。